筺底のエルピス4 廃棄未来/オキシタケヒコ


筺底のエルピス4 -廃棄未来- (ガガガ文庫)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2016年6月刊。
絶望に次ぐ絶望を描いた3章の後編となる第4巻。
たしか本来は3巻と4巻で1冊の予定じゃありませんでした? 4巻だけで500頁超えってどういうこと??
と、読む前は笑ってしまったのですが、読んでしまうと感謝の気持ちしか湧いてこない。
ここまで濃厚な物語に仕上げてくれて本当にありがとうございます。凄みすら感じる面白さでした。
しかし、最後、これは・・・・・・。

☆あらすじ☆
すべてを取り戻すための、最悪なる希望。殺戮因果連鎖憑依体――古来より『鬼』や『悪魔』と呼ばれてきたその存在は、感染する殺意であり、次元の裏側から送り込まれた人類絶滅のプログラム。それを消滅させられる唯一の手段を失い、世界は今や、確実なる滅亡へと突き進もうとしていた。白鬼の憑依者である少女、朋之浦結を守り続ける《門部》の逃亡者たちが、《ゲオルギウス会》の祓魔師たちを巻き込んでまでして組み立てた起死回生の一手も、あえなく瓦解した。あまりにも邪悪な《エンブリオ》なる存在と、数奇な運命に翻弄される狙撃手の少女が、屍を積み上げながら獲物たちを追い続ける。残された希望は、すでに命を落とした戦略家、間白田俊彦が残した『負けない策』のみ。その真相に辿り着いたとき、白鬼の少女と《門部》の面々――百刈圭、乾叶、貴治崎花、朱鷺川ひかえ、そして百刈燈は、いかなる選択を強いられるのか。世界のすべてを包み込まんと膨れあがる死の連鎖の果てに、はたして誰が『鍵』となり、『過去の改変』という救済を掴み取ることができるのか。人類の存亡をかけた、影なる戦士たちの一大叙事詩。失われた過去を取り戻すため、最悪なる希望が奏でる混沌の第4弾。

以下、ネタバレありの感想です。

 

満身創痍で追い詰められつつも、必死に逃げ続ける圭たち《門部》の生き残り。
それを追う《I》最凶の不死者《エンブリオ》。

本来の敵であるはずの《鬼》よりも万倍も怖い《エンブリオ》に4巻も(((;゚д゚;)))でした。
エンブリオ、敵にも味方にも容赦なさすぎてエンカウント即死なのが嫌すぎる。絶望を煮詰めて人型にとったようなキャラクターですよね。
この4巻、500ページという分厚いページ数の7割はエンブリオによる悪夢で埋まっていた気がする。

 

もっとも、エンブリオによる一方的な虐殺劇だけに終わらないのがこの作品の面白いところ。
能力のルールに基づき、そこからさらに裏をかく駆け引きの応酬。
強い者は能力の限りを尽くして戦いに挑み、弱い者もまた命がけのペテンに挑む。
戦士達の多様な戦いぶりに痺れます。彼らそれぞれに色んな戦い方があって、それら全てに魅せられました。

 

そんな死闘の裏側で、徐々に明らかになるのは真白田と阿黍の仕掛けた最悪の捨環戦の全貌。
時間SFの趣が急激に強くなってまいりました。
なるほど「廃棄未来」。
ループでパラドクスなあれこれを想像して一瞬混乱したものの、それを押しても面白いし希望がみえたことにゾクゾクしました。

 

とはいえ、「今がどれだけ絶望的でも、頑張れば全部なかったことにできるんだよ!」という希望が、果たして「今」の救いとなったといえるのかどうか。
一人、また一人と仲間が減っていくたびに、「諦めてはいけない」という重しがどんどん増していくようで苦しい。
希望があるからこそ今を苦しむ圭たちを見ていると、もう辛くて辛くて仕方ありませんでした。
命を賭して託されるって、重いよなぁ・・・・・・。

 

過酷で無惨な逃亡劇の中でも、圭と叶のちょっとしたラブコメには心が癒やされました。
「意気地なし」って文句に思わず笑ってしまった。ヘタレめ!
・・・・・・この癒やされたシーンもラストの叶を見てから思い返すと泣けてくる。

他にも、百刈兄妹の最期の交流にうるっときたり、貴治崎の掘り下げで彼女を好きになれたり、ほんとに色んなドラマがありました。
ドラマが深いぶんだけ、それぞれの喪失感も凄まじいのだけど。

 

無惨な捨環戦の結末は、プロフェッサーたちの思惑に対する腑に落ちない気持ちはあるものの(結局最後まで踊らされた気分だし、廃棄された世界を思うと複雑)、それ以上に「やっと終わった」という安堵を強く感じました。

 

そんな捨環戦で、意外にも重要な役割を果たしたヒルデ。
彼女は最後の選択まで潔くて格好良かったです。
ただ、その真逆の選択をするしかなかった叶は・・・・・・。

 

ラストの叶の慟哭には、思わず涙がこみ上げてきました。
これが彼女が死にもの狂いで手にした希望なのだとしたら、なんて救われない結末なんだろう。
「やり直す」というふわっとした言葉に具体的なイメージを持てなかった段階で嫌な予感はしていたけれど。この作品にかぎって、万事がうまくいくなんていう脳天気なハッピーエンドが待ってるとは思っていなかったけれど(願ってはいたけど)。

どうにかして救済してほしい。こんなの、あまりにも可哀想だ。

3巻と4巻で表裏になっているカバー絵が読後に落ち込んだ心をさらに抉ります。
「表裏」であることと、人相の変化が辛い。

 

物語はここからどう進んでいくのでしょうか。
ああもう早く5巻をください〜〜〜〜・゚・(P’д`q。)・゚・

 

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