黎明国花伝 星読の姉妹/喜咲冬子


黎明国花伝 星読の姉妹 (富士見L文庫)
黎明国花伝 星読の姉妹 (富士見L文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2016年6月刊。
第3回富士見ラノベ文芸大賞「審査員特別賞」受賞作。
悪政を敷く女王に立ち向かう姉妹の運命を描いた物語で、古代アジア(ベースは3、4世紀頃の日本?)をイメージしたという神秘的な雰囲気のあるヒストリカルロマンでした。
序盤少し読みづらさを感じる部分はありましたが、世界観、キャラ、ストーリー、ともに魅力的。
1冊で綺麗に話がまとまっていて、最後まで楽しく読めました。

☆あらすじ☆
荒廃した国、苦しむ民――姉妹が国を救うグランドロマン開幕!
身体に現れる花形の痣と、「星読の力」と呼ばれる予知能力を持つ女王が国を治める黎明国。スウェンとルシェの姉妹は女王の資質を持つが故に陰謀で家族を失う。姉妹は民のため、殺された家族のため再起を誓うが……。

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語の舞台となるのは、東海の島国「天津洲」の盟主国であり、不思議な力を持った初代女王によって統治されてきた黎明国

初代女王のイメージはそのまま卑弥呼だし世界観や用語は古代日本風である一方、登場人物の容姿が金髪碧眼だったり名前がカタカナだったりする和洋折衷なファンタジーでした。
その独特のバランスがうまく異世界の空気を作り出していたと思います。和風な世界観に金髪の美女がしっくりと馴染んでいて、こういうの好きだなぁと読んでいて楽しかったです。

 

さて、物語は悪政を敷く黎明国の現女王へ家族を奪われた姉妹が、大陸の皇国からやってきた「商人」と出会い、自分たちの運命を見定めていく姿を描いていきます。

その中心となるのは妹のルシェ
タイトルや表紙的には姉のスウェンも主人公なのかもしれませんが、基本的にはルシェを軸に物語は動いていきます。

 

国の滅亡をなんとか阻止し、現女王を廃して姉を女王に立てたいと考えるルシェ。
そんな彼女の前に現れた「商人」のエルダは、失政を重ねる女王が招いたタイムリミットを告げ、ルシェに大きな決断をするように迫るのです。

 

女王の暴虐な振る舞いを語るダイジェスト的な序盤は正直退屈だったものの、ルシェがエルダから皇国の狙いを教えられるシーンからは物語が一気に動き出して面白くなっていきました。

 

女王への恨みと国の窮状への憂いを抱えて、未来のために立ち上がることを決意する姉妹。
「花の形の痣」と「星読みの力」という二つの要素をうまく取り入れつつ、「日輪の巫女によって統治される国」という神秘的な設定をクライマックスで活かしたことも王道的で面白かったです。やっぱり古代日本風な舞台設定でその要素は欠かせませんよね。
残虐な女王を打倒するというクーデターを描いた物語として、1冊でテンポ良くまとまっていたと思います。

 

メインではないけれど、ラブロマンス的にも悪くなかったです。
ルシェとエルダの関係はなかなか好みでしたし。
「婿の譲り合い」には笑ったけれど、最終的にカラッと爽やかな雰囲気に落ち着いてくれて満足。
萌える感じではなくても、ほんのり甘い締めくくりは物語的に良い塩梅だったと思います。

 

恋愛関係といえば、スウェンの恋についてはもう少し丁寧にほのめかしてくれても良かったかな。
情念の深そうな感じの割にあっさり流されてしまったので「そこんとこもっと詳しく!」と思ってしまいましたw
血のつながりは全くないんだし(蘭姫と前夫の子)問題なさそうだけれど、前男王と再婚がダメなのかな??

 

スウェンとルシェの物語としては綺麗に終わっているのですが、続刊はあるのでしょうか。
この世界観はとても好みなので、黎明国を舞台として新たな主人公の物語を描いても面白いかも。
とりあえず、期待の新人さんということで次回作を待つことにしましょう。

 

余談。
「カッカッカッ」とか「さわさわ・・・」とか、頻度の割に安っぽいオノマトペの使い方だけはどうにも合わなかったです。まぁ、これは好みの問題かなぁ。

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。