彼女はとても溶けやすい/丸山英人


彼女はとても溶けやすい (電撃文庫)
彼女はとても溶けやすい (電撃文庫)

評価:★★★☆☆
2016年6月刊。
溶けやすい少女と目立たない少年の学園ラブコメ。
比喩でも何でもなく「溶けやすい」というヒロインの秘密を共有することになった主人公の物語です。
次第に距離が縮まってく二人の関係を重点的に丁寧に掘り下げていく、コンパクトにまとまった良いラブコメでした。

☆あらすじ☆
すぐにカッとなり、正体をなくしてしまう。端的に説明するならば、重栖かなたはそんな女の子だ。それだけ聞くと、彼女がとても怒りっぽく、我慢できずに周囲に当たり散らすような性格だと思うかもしれない。だけど実際には…まあ実際に、そんな性格をしている(汗)。そして、すぐにカッとなり、正体をなくしてしまうというのは、比喩でもあり、物理的に文字通りの意味でもあった―。これは、存在感が薄くてクラスに友達のいない僕が、クラス一美人だと注目されている彼女の秘密を知ってしまったことから始まる、ちょっと変わった物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

家族にすらたまに忘れられるほど存在感の薄い高校生・久田深弥
ある日、クラスメイトの美少女・重栖かなたの秘密を知った深弥は、「融点の低い」彼女の溶けやすい体質改善に協力することになって・・・・・・という感じに物語は始まります。

 

文字通り「溶ける」体質のかなた。
溶けるっていってもどの程度なの?輪郭が緩む程度?と最初は疑問だったのですが、終盤で完全にスライム化(たぶん)してびっくり。
全身がデロデロに溶けても元に戻れるって、これは特殊体質というよりもはや怪異なのでは・・・・・・。融点の低い体質とかそういうレベルじゃないと思うのですがあくまで「体質」と言い張りましたねw
結局、体質以外に何の説明もないまま終わってしまったのが余計に作品の不思議感を増していました。まぁ、こういう不思議な読後感もありといえばあり。

 

そんなかなたの体質改善のため、彼女と友達として付き合っていくことになる深弥。
深弥が徐々にかなたに惹かれていく描写は丁寧で良かったです。存在感が薄いコンプレックスを抱えているから、ちゃんと最初から存在を認識してくれていたかなたに好意を持つのも自然ですしね。
かなたは当たりの強い子だけど、要所で可愛さを見せてくれるからキュンキュンするし。これは好きになっちゃうのも仕方ない。
コンプレックスがある者同士が寄り添うラブコメとして綺麗にまとまっていると思いました。

 

二人の関係をサポートしていく沖島文も、出番が比較的少ない割にうまく物語を動かしていた印象。
基本的に深弥、かなた、文の3人しか登場しない物語でしたが、あまり窮屈さを感じさせずにのびのびとストーリーが進んでいたと思います。
深弥とかなたの関係の変遷だけを集中して描いていくため、掘り下げられた人物描写に奥行きを感じることができたからかもしれませんね。

 

1冊で綺麗にまとまっているけれど単巻ものかな?
派手な展開とかはなかったものの、ほのぼのできて楽しい作品でした。
ラストの、幸せそうにとろんと溶けるかなたの笑顔はとても可愛かったです(^o^)

彼女はとても溶けやすい (電撃文庫)
丸山英人
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

 

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