玉妖綺譚/真園めぐみ


玉妖綺譚 (創元推理文庫)
玉妖綺譚 (創元推理文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2016年5月刊。
第1回創元ファンタジイ新人賞「優秀賞」受賞作。
妖絡みのトラブル処理を請け負いつつ、玉妖に魅入られた姉を助ける方法を探す少女驅妖師(祓い屋)が主人公の和風ファンタジーです。
現実としばしば交わる幻想的な妖の世界が素敵でした。設定と世界観はとても魅力的。
人物の動かし方や心情描写に粗さを感じたものの、デビューシリーズの第1巻ということなので今後の成長に期待したいと思います。

☆あらすじ☆
異界と現実世界との間にある“はざま”。そこで産する竜卵石は妖力をもち、主の“気”を受けて玉妖と呼ばれる精霊を宿す。中でもその美しさ、知性から伝説的な存在とされるのが、難波俊之が育てた“難波コレクション”の七つの玉妖たちだ。そのひとつ〈くろがね〉を受け継いだ修業中の驅妖師・彩音は、玉妖に魅入られ眠り続ける姉を救おうとする……。人々の目に見えない異界妖が跋扈する皇国大和の首都・櫂都を舞台に、少女驅妖師・彩音と相棒の玉妖くろがねが、妖がらみの摩訶不思議な事件に挑む。

以下、ネタバレありの感想です。

 

舞台となるのは皇国大和の首都・櫂都。
設定や雰囲気的に明治頃をイメージすればいいのでしょうか。

そして主人公は、櫂都で駆け出しの驅妖師として仕事を請ける少女・彩音
物語は、相棒の玉妖・くろがねと共に、異界から現れた妖が引き起こすトラブルを解決していく彩音の奮闘を描いていきます。

 

連作短編的にいくつかの事件が登場するのですが、そんな物語の軸となるのは彩音の姉・百合乃の問題
玉妖・ほむらに魅入られ、ほむらの世界「郷」から帰ってこなくなってしまった百合乃をどうにかして連れ戻すことが彩音の大きな目標として掲げられているのです。

 

個人的に残念だったのは、この百合乃の問題についてもう少し情緒的に掘り下げて描いてほしかったというところ。
オチがね・・・・・・。
百合乃が現実的な女性でほむらに魅入られるのは不思議だっていう話はあったのでオチに納得はしたものの、なんというか序盤の悲壮感の割にあっけない解決だったなと肩すかしに感じてしまいました(´・ω・`)
婚約者をめぐる兄弟の泥沼愛憎劇をみた直後だから余計にそう感じてしまったのでしょうか。
それにしたって、ほむらがあっさり説得に応じたことに「いや、これもっと早い段階で解決できたのでは・・・・・・」とモヤモヤ。

 

いやでも、ここまでくるためには彩音の成長が必要だったわけだし、それには色んな事件を通して玉妖と人間の在り方を彼女自身が見極めることが不可欠だったわけだし・・・・・・とか色々考えましたけど、やはりラストは駆け足すぎたと思います。
兄弟の愛憎劇の方が本題よりドラマチックだったのはバランスが悪い気がするんですよね。

 

そんな感じで描写が惜しいところはありましたが、和風ファンタジーな世界観そのものはとても魅力的でした。
竜卵石から生まれる美しい玉妖と、彼らが作り出す幻想的な「郷」の数々。
玉妖に魅入られたり利用したりする人間の生々しさが、より玉妖の存在を妖しく煌めかせているかのようでした。魅了されるのも分かるよなぁ。

 

蠱惑的な玉妖たちのなかでも異彩を放っていたのが彩音の相棒・くろがね。
ツンデレなのか?どこらへんが彩音に懐いているのか私にもよく分からなかったのですが、彩音は玉妖に好かれる性質らしいので、たぶん懐いているのでしょう。
まぁ、彩音に対して常に塩対応のくせに、大事なところではしっかり彼女をフォローするあたり、くろがねが良い相棒なのは間違いない(次巻もちゃんと登場するのかな)

 

彩音のくろがねに対する想いがどうなるのかも気になるところです。
そのまま気持ちを育てると百合乃の二の舞ですしね。
そこらへんはあまり踏み込まずに終わったので、次巻以降に期待したいと思います。

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