図書館の魔女 第三巻・第四巻/高田大介


図書館の魔女 第三巻 (講談社文庫)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2016年5月刊。初出は講談社2013年8月刊。
四分冊されたファンタジー超大作の後半戦。
第4巻だけで640頁もあったのですが、面白すぎてあっという間に読んでしまいました。
権謀術数が飛び交う骨太な政治ファンタジーとしても、甘酸っぱい主従関係に萌えるボーイ・ミーツ・ガール小説としても最高でした。本当に素晴らしかった!

☆あらすじ☆
深刻な麦の不作に苦しむアルデシュは、背後に接するニザマに嗾けられ、今まさに一ノ谷に戦端を開こうとしていた。高い塔のマツリカは、アルデシュの穀倉を回復する奇策を見出し、戦争を回避せんとする。しかし、彼女の誤算は、雄弁に言葉を紡ぐ自身の利き腕、左手を狙った敵の罠を見過ごしていたことにあった。

以下、ネタバレありの感想です。

 

戦乱を予感させ緊張高まる一ノ谷、アルデシュ、ニザマの三国関係。
戦争の結末がどうなってもそこに勝者はいないと断じたマツリカは、始まる前に戦争を回避させようと画策。しかし、ニザマからの刺客は彼女の「言葉」を紡ぐはずの左手を封じることに成功して・・・・・・という波乱の幕開けで後半戦はスタートします。

 

戦争回避のために図書館の魔女がとった策略は素晴らしかったですね。
勝者が誰もいない戦争を避けるために、誰もが利益を得る構造を作り上げる。なぜ戦争が起こるのかという根本的な問題に着目し、それを理のないものとする代案を打ち立てる。
マツリカは武力も持たず、自前の声すらなく、さらには手話を紡ぐ利き手さえ奪われている状態なのに、彼女の「言葉」は力強く政局と人心を動かしていくのです。マツリカの存在そのものが強い「言葉」なのでしょうね。
そしてマツリカの策略とハッタリがぴたりと嵌まったときの爽快感といったら!
専門的な細かい内容はよく分かりませんでしたけどw

 

四巻序盤の円卓会議はマツリカのハッタリも良かったのですが、ニザマ帝が良いキャラしていてさらに物語を楽しく動かしていたと思います。
老獪なおじいちゃんという感じが良いですねー。マツリカの若さが引き立つというか。
マツリカとニザマ帝の禁書論争はなかなか興味深かったです。これはいつの時代でも当てはまりそうな議論だよなぁ。

 

三巻から正式に図書館入りした近衛兵たちもまた素敵。
高い塔に入っても知謀に無縁で色んなことにちんぷんかんぷん。戸惑う彼らにとても共感してしまいましたw
それでもマツリカとキリヒトを中心にして生まれていく仲間としての絆は素敵。
四巻後半の「双子座の館」へ向かうシーンからのスペクタクルな展開は彼らのおかげでより面白くなっていたし、裏切り発覚からの一連の流れは絆の強さをより感じさせるもので涙を誘いました。

 

外交と内政を緻密にリアルに描き出す壮大なファンタジーとして面白かった本作ですが、マツリカとキリヒトの主従の物語としても本当に素晴らしかったです。

「言葉」だけで戦争を止めたマツリカ。
誰を相手にしても気高く冷然としていた彼女が、大きく感情を動かす姿を見せるのはキリヒトの前だけ。
出会ってからそこまで時間は経っていないというのに、どんどん互いに唯一の存在となっていく主従にときめきが止まりませんでした。

左手を封じられて情緒不安定になったマツリカを彼女の唯一の「声」となったキリヒトが傍で支えるシーンとか、キリヒトとの別離を予見して彼へ「キリヒトなんかやめてしまえ」と訴えるシーンとか、寒い船室のなか二人で暖を取り合うシーンとか、ラストの手紙とか。
この主従関係が私の萌えを刺激しすぎて辛い・・・・・・!

すぐキリヒトを困らせようとするマツリカに、キリヒトが「どうしてそんな意地悪をおっしゃるんです」と返すテンプレが好きすぎて、いつまでも見ていたいと真剣に思ってしまいました。

それだけにラストがとても切ない。

未来ある一時の別離だとしても、この喪失感に胸が苦しくなります。早く二人の再会を読ませてほしい!!

 

私には難しいところのあるファンタジーで前半は読むのに時間がかかりましたが、一度この世界の魅力に囚われたらもう逃れることはできませんでした。本当に素晴らしい作品だと思います。

 

すでに続編は単行本で刊行されていて、シリーズ第三作も今年中に刊行予定とのこと。
サイズを揃えるために文庫落ちを待つか、早くこの世界に戻るために単行本を買ってしまうか悩ましいところです。

 

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