舞姫恋風伝 全4巻/深山くのえ


舞姫恋風伝 (ルルル文庫)
舞姫恋風伝 (ルルル文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

シリーズ総評:★★★☆☆
小学館ルルル文庫の人気作家 深山くのえさんの文庫デビュー作。
農村から売られて宮廷にやってきた見習い舞姫が孤独な太子と出会い、恋に落ちる物語です。
中華身分差恋愛もので、色々と粗さが気になる部分もありましたが、繊細にゆらめく恋模様は素敵でした。
特筆すべきは3巻で本編が完結した後に出された4巻目となる短編集。
これは本当に素晴らしかった。控えめに言って傑作揃いだったと思います。

☆あらすじ☆
陰謀うずまく王宮で舞姫と親王殿下の恋物語貧しい村から売られてきた愛鈴は帝のために舞う妓女見習い。月の輝く夜、親王殿下である慧俊に出会い互いに惹かれ合うが…!?  陰謀うずまく宮廷で、恋と友情と野心が交錯するドラマチック・ロマンファンタジー!

以下、各巻に触れつつネタバレありの感想です。

 

2007年5月刊。
かつて出会った太子・慧俊への恋心を胸に秘める宮妓の少女・愛鈴
彼のための舞姫になろうと努力する日々の中で、ようやく再会した慧俊への想いを募らせる愛鈴。その一方で帝位を巡る陰謀も動きだし・・・・・・という感じに物語は進んでいきます。

身分差恋愛の切なさが印象的な物語でした。
あまり前に出るタイプではない愛鈴が、なかなか会うことのできない慧俊のために難しい舞にチャレンジしようとするなど、ヒロインの健気さがとても良かった。
人目をはばかって一時の逢瀬を重ねる恋人達の姿も素敵でしたしね。

身分差の問題があっさりと解決してしまったことだけは物足りませんでしたが、ストーリー的には可もなく不可もなし。

 

2007年8月刊。
1巻で一応綺麗に終わっていた物語を続けた結果、シリーズ中最も粗さが気になった第二巻。
そんな伏線あったっけ?という愛鈴の驚きの血筋が明らかになり、それに絡んで再び反乱が起こってしまうストーリーです。

取って付けた感のある後出し設定に気乗りできず、反乱の結末もなぁなぁに済ませる感じにモヤモヤしました(これについては短編集でフォローが入ったので不満解消)

ただ、廃城の上で舞うシーンは幻想的でとても良かったです。
愛鈴の儚い覚悟が伝わってきて、悲恋的美しさを感じるシーンでした。

あと佳葉が良キャラすぎて、彼女が啖呵を切ってるシーンほんと好きでした。

 

2008年3月刊。
愛鈴絡みでまたも阿呆が湧いた第3巻。
身分が低いといっても地位は上なのに、よくもまぁこんなザルな陰謀を仕組んだものだと呆れてしまいました。

設定や展開は2巻に引き続き粗さが気になったものの、3巻は心理描写がとても良かったと思います。
あれ、私の知ってる深山さんが突然現れた・・・と、このシリーズを読む姿勢を改めたくらい。

愛鈴が慧俊を想う気持ちもその逆も、とても情緒的でしっとりと物語に溶け込んでいくかのよう。
愛鈴の繊細な恋心の描写はシリーズを通して魅力的な部分ではあったのですが、この3巻は表現と演出がぐっと向上しているように感じました。
これこれ、こういうの読みたかったんだと満足。

ただし、ここで本編は完結なんですよね。
せっかく良くなってきたのに、と惜しみつつ読了。

 

2008年5月刊。
後日談を含む10本の短編集。

どの短編もめちゃくちゃ良かったです。傑作揃いで鳥肌。
サブカップルや脇キャラにスポットを当てる外伝的短編集なのに、本編をはるかに超えるクオリティをみせてくるとは。
この短編集のために本編全部読んでってすすめたくなるまであります。

どれも素晴らしかったのですが、一番好きなのは佳葉&慈雲の結婚式を描いた「愛しき日々」
近すぎて見えにくい幼なじみの距離感が素晴らしく、言葉がないからこそ不安になる挙式前の佳葉の姿が切なくて泣きそうになりました。
その一方で、素直になれず言葉がうまく紡げない慈雲の悶々とした気持ちにはニヨニヨしてしまったのですがw

月真と香泉の恋の行方を描いた「いつか扉の開く日」も捨てがたい。
暗行御史とか水戸黄門的なストーリーでもあって、こういうの好きなんですよねぇ。面白かった。
月真の暗い過去に触れて、彼の遠慮をなくすために必死に自分の悪行を思い出そうとするも何も出てこない香泉が可愛かったですw

ああ、あと連珠と昇貴の過去と現在を描いた「罪と子守歌」も連珠の背徳的な恋心にゾクッとしたし、宮妓がいなくなった後の明艶を描いた「宮妓の矜恃」は風が吹き抜けていくかのような爽やかな読後感が素晴らしかったです。

バカすぎる弟のその後を描く「愚者の旅立ち」では、2巻のモヤモヤとした部分にしっかりと説明がつけられてスッキリしました(あれくらいで済んだわけじゃないのか。そうだよなぁ、と)

 

 

うーん、思い返しても最後の短編集の完成度が飛び抜けているなぁ。
デビューシリーズ内でここまで急成長をとげる作家さんってあまり知りません。本当にすごい。

 

というわけで、次に読む予定の「桜嵐恋絵巻」シリーズへの期待度が俄然高まってまいりました。楽しみだ!

 

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