君と時計と雨の雛 第三幕/綾崎隼


君と時計と雨の雛 第三幕 (講談社タイガ)
君と時計と雨の雛 第三幕 (講談社タイガ)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2016年5月刊。
タイムリープ学園SF第三弾。今回はもどかしい青春小説としても最高でした。冒頭から心が痛い・・・・・・。
四部作となる物語もいよいよ佳境に突入!本当に面白い!!

☆あらすじ☆
大切な人の死を知る度に、時計の針は何度でも過去へと巻き戻る。「親友や家族が世界から消失する」というあまりにも大きな代償とともに――。幼馴染の織原芹愛の死を回避したい杵城綜士と、想い人を救いたい鈴鹿雛美だったが、願いも虚しく残酷な時間遡行は繰り返される。雛美が頑なにつき通していた「嘘」、そしてもう一人のタイムリーパーの存在がループを断ち切る鍵となるのか!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

冒頭から淡々と語られていくのは、芹愛の内心。
これが本当にメンタルを抉って心が痛かったです(´・ω・`)

 

ようやく明らかになった芹愛が綜士に抱いていた気持ちに、あああ・・・・・・、と思わず声が漏れてしまいました。
こういうボタンの掛け違いはもどかしくて苦しいなぁ。
芹愛視点を知ってから1巻冒頭を読み返すと、芹愛がますます不憫に思えて泣けてきました。綜士のあほう。ほんとに阿呆。

 

それだけでも胸が痛いのに、最愛の姉の死をきっかけに始まってしまった芹愛の運命があまりにも残酷すぎて辛い。
助けてくれる人がいない中、ひたすら孤独に時間を繰り返して同じバッドエンドに戻っていくとか、どれほどの絶望を感じるものなのでしょうか。
しかも大切な人の喪失はどんどん増えていく鬼畜仕様。孤独から立ち直ったはずなのに、また孤独に戻されるとか・・・・・・。
「世界は芹愛の幸福を許さなかった」という一文が突き刺さります。

 

その上、繰り返すタイムリープから彼女が導きだせたのは殺すか死ぬかの二択だけ。
なんというハードモード。芹愛の自殺の原因に打ちのめされそうでした。綜士じゃなくても彼女の幸福を願いたくなる。

 

冒頭で散々悶えさせられましたが、再開した本編もとても面白かったです。
今回も先輩の知性は冴え渡っていて「時震」についてだいぶ明らかにしてくれました。
まぁその説明にはちょっとだけ戸惑いましたけど。雛美の正体でさらに動揺。
でもなるほどなぁ。時震から始まる様々な事象に説明がついてスッキリしました。
あとは雛美の頑なな嘘にどんな秘密が隠されているのか気になるところ(最終巻タイトルは「君と時計と雛の嘘」ですし)

 

そしてついに訪れた、おそらく最後にして最大の試練。
この展開を予想していた読者は多いのではないでしょうか。
私は綜士が「父親」云々言いはじめたとき、何言ってんだコイツそんなわけあるかと心中総ツッコミでした。

ただまぁ、予想通りの展開のはずなのにラストの一文に思わず戦慄してしまったのは自分でも意外でした。覚悟しててもキツイ。
予想外の展開でびっくりさせるよりも、予想させつつ衝撃を与えるほうが難しいだろうに。本当にすごい作品です。

 

そんなすごい作品も、残すところは最終巻のみ。
綜士たちの物語がどんな結末を迎えるのか、今から胸の高鳴りが止まりません。

タイムリープの結末はもちろんですが、綜士の恋がどうなるのかも楽しみ。
最後の屋上シーンは(状況はさておき)良い雰囲気だったと思うんですよね。
あのシーンは、長年すれ違ってきた綜士と芹愛の心がようやく重なった瞬間なのに、それが儚く消えていく時間であることが最高に切なく感じてしまいました。こういうの大好き。
あと、「逆に聞くけど」からの一言に痺れる。綜士おまえそういうセリフも言えたのか!
このふたりは不幸なボタンの掛け違いを今こそ解消すべきなんですよね。してくれるかなぁ。もうそろそろ綜士の償いは果たされたとみても良いと思うんです。

 

そういえば先輩の告白はびっくりでした。趣味悪いな
こちらも含めて全員の恋の行方が気になります。

 

全ての余韻を吹っ飛ばすあとがきも大好きですw
最終巻あとがきでは何を書いてくれるのか、静かに期待しています。

 

SFとしても青春小説としても最高の面白さを魅せてくれた第三巻。
これでこのシリーズが傑作となるのは間違いなしだと確信しました。
ああもう本当に最終巻が待ち遠しい!!

 

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