りゅうおうのおしごと!3/白鳥士郎


りゅうおうのおしごと! 3 (GA文庫)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★★
2016年5月刊。
最高でした。
優しいお姉さんのイメージが強かった桂香の内心をエグいくらいに掘り下げる第3巻。
努力と才能の話には胃が痛くなりましたが、それでも負けずに前を向く棋士たちの姿に心が熱くなりました。

☆あらすじ☆
「あいも師匠と一緒に『おーるらうんだー』めざしますっ!!」
宿敵≪両刀使い≫に三度敗れた八一は、更なる進化を目指して≪捌きの巨匠≫に教えを乞う。一方、八一の憧れの女性・桂香は、研修会で降級の危機にあった。
急激に成長するあいと、停滞する自分を比べ焦燥に駆られる桂香。
「私とあいちゃんの、何が違うの?」
だが、あいも自分が勝つことで大切な人を傷つけてしまうと知り、勝利することに怯え始めていた。そして、桂香の将棋人生が懸かった大事な一戦で、二人は激突する――!
中飛車のように正面からまっすぐぶつかり合う人々の姿を描く関西熱血将棋ラノベ、感動の第三巻!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

今回は負け続けている宿敵「両刀使い」(結局どちらの意味だったのか・・・)に対抗するため、八一が自分の壁を破りオールラウンダーを目指すストーリー。
その一方で、年齢制限を前に苦しむ桂香にスポットが当たっていく物語でした。

 

八一も色々頑張っていたけれど、やはり今回一番強く心に残ったのは桂香の苦悩。

年齢制限のある世界でギリギリになっても芽が出ず、自分では必死に努力しているつもりなのに報われず、同世代の輝かしさを直視するのが辛くて、次世代の台頭に嫉妬を隠せず・・・・・・。

なにこれ辛い。刺さる刺さる。めっちゃ痛い。
桂香のターンはどこを切り取っても哀しくて泣きそうだったのですが、個人的に辛かったのは銀子に自分の将棋のダメだしを食らうシーン。

「わかってたわよ。自分の将棋が、他人のマネをしているだけだっていうことは・・・・・・私の将棋が、着せ替え人形だっていうことは・・・・・・」
嘘だ。
薄々気づいてはいたけど、その事実から目を逸らし続けていた。それを『わかっていた』とは言わない。
けれどこうでも言わないと、ちっぽけな支えすらなくなって、私の心は折れてしまう。

あれ?私が喋ってるの??と一瞬びっくりするくらい覚えがありすぎるモノローグでした。

懸命に努力していたつもりが、本当にただの「つもり」だったと突きつけられるのは本当に辛い。
必要なことだと頭では分かっていても、素直に現実を受け入れるのは「じゃああの時間は何だったの?無駄だったの?私はどうすれば良かったの?」って絶望感で心が迷子になりそうな感じがして怖いんですよね・・・・・・。
桂香の気持ちが果てしなく分かりすぎて、ここは読むのが本当に苦しかったです。

 

それでも、銀子に教えを乞い、あいと天衣に挑み、最後は爽やかに笑った桂香は本当に強い女性なのだと思いました。
才能がなくても、努力が遠回りでも、足掻きながら前を向き続ける姿がとても格好よかったです。

そして終盤は、「十歳の私へ」に目が潤んで、エピローグの父娘の姿に涙腺が決壊。だめだこういうのほんとによわい。

 

桂香の物語をはじめとして(むしろこれに繋げていくために)、今回はいたるところに「才能」と「努力」の話が散りばめられていました。

主人公である八一とあいはやはり才能の人なんですよね。
銀子も才能の人だと思っていたけれど、彼女は彼女で「将棋星人」との隔絶を感じているようだったのは意外でした。
そして将棋星人たちの異星人っぷりハンパない。あいとか。ポケットの中に〜とか言い始めたところで「何言ってるのかなこの子。宇宙人かな?」って素で思いました。

 

そんな宇宙人たちも将棋がうまくいかずに苦悩するわけで、才能があればOKという単純な話じゃないんですよね。努力するからこそ勝てる。
ここで面白かったのは巨匠の話。
誰もが命がけで努力しているなかで、自分が人より伸びたのは「才能」があったおかげであって、自分だけが他人より努力してるなんて考えは傲慢。
潔い考え方が最高にクールです。生石△
「努力すれば夢は叶う」というのは必要条件であって十分条件じゃないんですよね。
才能があっても努力しなければいけないけど、同じだけ努力するのであれば才能の有無が大きな隔たりとなる。
勝負の世界における才能と努力の関係をシビアに描いているところが印象的でした。

 

今回の話でも、結局努力の人(山刀伐と桂香)はふたりとも才能(八一とあい)に負けてしまっているところなんか、本当にシビア。
ただ、勝敗はさておき「結局将棋が好きなんだ!」という気持ちの強さはどちらからも伝わってきて、読後感は清々しかったです。
「才能を封じることができる努力」に可能性と夢を持たせる描き方も良かったですしね。

 

ああ、最高に面白かったです。
JSに踏み踏みされて「これが命の重さ!」とか言い出すあたり、そろそろお巡りさんを呼んだ方が良い気もしますが、安定のロリラノベとしても笑えて楽しかったです。

4巻も期待!

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「りゅうおうのおしごと!3/白鳥士郎」への2件のフィードバック

    1. 茶一こりんさん、コメントありがとうございます。

      私もさっぱり将棋わかりません!(>_<) なので将棋シーンはフィーリングで読んでいるのですが、それでも熱さが伝わってきて「なんかすごいことをしている!」と楽しめていますw将棋要素を抜きにスポ根系青春ラブコメとしても十分楽しめると思いますが、とりあえず1巻を試してみてはいかがでしょう? ストーリーは各巻ごとに綺麗に纏まっているので、内容が合わずに1巻しか読まないことになっても消化不良でモヤモヤすることはないと思います(^^)

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