個人と国家 人魔調停局 捜査File.02/扇友太


個人と国家 人魔調停局 捜査File.02 (Novel 0)
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前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2016年5月刊。
魔物と人類が衝突しながら共存する世界を舞台にしたポリスアクション第2弾。
世界観の説明に手間取っていた前巻に比べるとかなり良くなっていると思います。とても面白かったです。
不法移民の暴走事件を通じてライルが知ることになる、とある重大な真実。
そこに辿り着くまでの謎が謎を呼ぶ展開と、大きな流れに翻弄されていく登場人物達の悲哀に目が離せなくなりました。

☆あらすじ☆
主人公ライルに持ち込まれた度重なる、不法移民の暴走事件。時を同じく、クリアトと冷戦状態にあるヘクト連合王国からコスタス少佐が入国。少佐の目的はクリアトに密入国したテロリスト・ヴォルフの殺害で――!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

今回は外部魔物の不法移民の連続暴走事件の極秘調査任務に乗り出したライルが、次第に国家間のパワーゲームの真実を知っていくことになる、というストーリー。

そもそも休暇がない上に有給を無理矢理使わされての極秘任務とか、調停局のブラックさは留まるところをしりませんね。ライルの悪態の悲壮感がすごい。

 

そんな哀れな公務員がまたも首を突っ込んでいく今回の事件は、前回以上に規模が大きく、そして闇が深いものでした。

 

それぞれ凶悪な兵器で牽制しながら冷戦状態にあるクリアトとヘクト。
序盤から二国間の対立が強調されていたのでこれにどうライルが関わっていくのかと最初はワクワクしていたのですが、読み終わるとやるせない気持ちを持て余すことになってしまいました。

 

誰が悪いのか、何が悪いのか、どうすれば良かったのか。
主導権を握った存在があまりにも遠すぎて、巨大な流れに巻き込まれて翻弄される不条理に胸が痛くなります。
特に【グレイプニル】との激闘の末にヴォルフが溢れさせた感情は辛かった。
全ての真実を知ったライルが、エピローグでこぼした「怖かったんだ」の言葉も重い。
結局、この戦いの果てにライルが得たものは、自分が「覚悟」を持ってない半端者だって自覚したことだけなのかな・・・・・・。
爽快なラストではありませんが、この苦みの強い後味もまた良し。

 

メインストーリーは重苦しかったものの、それをつないでいくアクションシーンはとても派手で面白かったです。
今回のライルの相棒は烏天狗カエデでしたが、任務毎に相棒が変わっていくのかな?
変態ユニコーンの出番が少なかったのは残念でしたが、カエデとライルのブラックユーモア満載の掛け合いが楽しかったのでこのコンビもアリですね。
調停局員たちの仲良しすぎる憎まれ口に癒やされる。

 

前回でライルさんちの子となったクーベルネも、出番こそ少なめながら大きな存在感を発揮。
兄妹喧嘩からの「妾に口出しする資格なんてないだろう!」のシーンは不意打ちでした。ああ、そうか、そうだよなぁ、と。
家族なんだから心配するのは当然なのに、それを口に出せないクーベルネの葛藤に心が痛くなります。
「家族」となった経緯がふたりの間に未だ溝を作っているけれど、そこを乗り越えることで本当の意味で「家族」になっていくんでしょうね。
すでにクーベルネはライルの精神的な支えにもなっているわけだし、今でも十分に「家族」に違いないのですが。彼女の存在がなければラストのヴォルフのシーンで心が折れていてもおかしくないと思ったので。

 

あと、2巻はロイヤーがやたら格好良かった気がします。
肝心な場面で頼りにならなかったりもしましたが、終盤はライルと意思が通じ合っている感じがすごかったし、上手い具合に協力関係が築けているなぁ、という印象。
結局、ライルはロイヤーの部下になるんでしょうか。後継者候補とか言っていましたし。
タイトル的に調停局は辞めないだろうけど、情報総局(というかロイヤー個人の正義?)のお手伝いに今後も駆り出されていくのだろうか。

 

どんどん面白くなっているので、今後の展開も期待できそうです。
善悪の確かな答えは見つからないとしても、少なくとも【本能派】とか諸々は叩きつぶさなければ。

3巻を楽しみに待っています!

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