近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係/久遠侑


近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係 (ファミ通文庫)
近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係 (ファミ通文庫)

評価:★★★★☆
2016年4月刊。
同い年の「親戚の女の子」と同居することになった高校生が、彼女との距離感を通して「女性」を意識していく青春小説。
透明感のある筆致で思春期の男子高校生の繊細な情緒が描き出されている作品だと思います。読み心地がすごく良い。
物語はまだ始まったばかりですが、これは傑作になりそうな予感。
最後に大きく動き出した人間関係がどんなドラマを生み出していくのか、とても期待しています。

☆あらすじ☆
母と二人で暮らす家で、遠い親戚の女子、和泉里奈と同居することになった坂本健一。里奈の控えめな性格や気遣い、女子校育ちの無防備さは、他人との距離に悩む健一に、初めて思春期の性を意識させる。同じ十七歳の女子と一つ屋根の下で生活していることを友人達にも隠そうとしていた健一だが、幼い頃からの腐れ縁、森由梨子に知られてしまい、彼女との距離感にも微かな変化がもたらされることに――。多感に揺らめく十七歳を映し出す、恋愛ストーリー。

以下、ネタバレありの感想です。

 

人見知りするタチの高校生・坂本健一が、同じ17歳の遠縁・和泉里奈と同居することになるところから始まる本作。
「可愛い女の子と一つ屋根の下」というありきたりの設定ながら、ときめきやドキドキよりも、どういう態度をとっていいのか分からないという健一の動揺がひしひしと伝わってくる物語でした。

 

不意打ちの連続でとても平常心ではいられないけれど、それが相手に伝わるのも恥ずかしいし、そんな風にいちいち狼狽える自分に困惑する健一。
無反応でも過剰反応でもない健一の困惑に「等身大」を感じてしまいます。この気恥ずかしいまでの思春期っぽさがたまらないw

 

ただ、これって男女を入れ替えてもあまり変わらない気がするんですよねー。
健一視点だけでは里奈が何を考えているのかはいまひとつ読み取れず、そこが彼女の神秘的な雰囲気を生み出してはいるのですが、でも里奈は里奈で色々と思うところがあるはず。そしてそれは健一とそんなに違わないのでは。男子高校生との同居生活に動揺しない女子校育ちとかいるのだろうか。
里奈の内心が気になります。いずれ出てくるかな?

 

本作のヒロインは里奈だけではなく、健一の幼なじみである森由梨子もまた重要なキャラクター。
ずいぶん対照的なふたりをWヒロインに据えましたねー。
里奈はいかにも男性に好まれる感じだと個人的に思うのですが、由梨子のキャラはむしろ男性には受けが悪いような。
そして、こういう当たりがきついキャラに、ラストであそこまで大きく行動させたことにびっくり。単なる当て馬ヒロインだと思っていたのに、結果的には里奈よりも先に恋の土俵に上がってしまったので。
仲良しの幼なじみがひとりの「女の子」であり、しかも自分に恋をしていることに気づいた健一が、これから彼女にどんな態度をとっていくのか楽しみです。

 

面白いスタートを切った第1巻だと思います。
ただ、欲を言えば1冊でもう少しまとまりよく終わってほしかったかな。
読んでいる間は物語に浸れて気にならなかったのですが、振り返ると少し途中の日常風景が長すぎたように感じるので。
私はシリーズものであっても1冊にある程度の起承転結が描かれている方が好みなので、ラストの展開がくるのちょっと遅いなって感じてしまいました。

 

まぁこれは丁寧にエピソードを積み上げているともいえるし、続きが出るなら何の問題もないのですけどね。
むしろあのラストで続きが出なかったら困ります。ファミ通文庫がんばって・・・・・・。

近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係 (ファミ通文庫)
久遠 侑
KADOKAWA/エンターブレイン
売上げランキング: 7170

 

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