死にかけ花嫁と革命の鐘/藍川竜樹


死にかけ花嫁と革命の鐘 (コバルト文庫 あ 23-20)
死にかけ花嫁と革命の鐘 (コバルト文庫 あ 23-20)

評価:★★★★☆
2016年5月刊。
暴君の婚約者となった病弱な王女が、祖国を守るため革命に挑む物語。
ファンタジー的要素はほとんどなく、ヒストリカルラブロマンという感じの作品でした。
死にそうで死なないお姫様ですが、予想以上に逞しくてしたたかななキャラが気に入りました。
世話役として出会い、革命を通して絆と恋を育てていく公爵とのロマンスも素敵。
1冊で綺麗に話がまとまっている良作だと思います。

☆あらすじ☆
ブルグ帝国の暴君皇帝に政略結婚で迎えられた王女ヘルミナ。体が弱く世話係の侯爵カエサルは振り回されるが、病弱を逆手に医学や政治の知識を蓄えるヘルミナは、カエサルに革命を持ちかけ……。激動ラブ!

以下、ネタバレありの感想です。

 

「死にかけ花嫁」というタイトル通り、主人公ヘルミナはまさに「死にかけ」の王女さま。
しかし病弱な身体に反し、彼女の心はとても強くて、そのギャップがとても魅力的なヒロインでした。

 

どう転んでも祖国と周辺諸国を脅かすことになるブルグ帝国皇帝ゼノンとの政略結婚。
物語は、追い詰められた状況の中で祖国を守るために懸命に知恵と勇気を振り絞っていくヘルミナと、彼女の世話役をこなしながら裏で革命を企む侯爵カエサルの恋と戦いを描いていきます。

 

革命の激動を描く物語としてはコンパクトにうまくまとめてあるのではないでしょうか。
後半が少し駆け足気味に感じたし、終盤のゼノンとの対決は期待よりもややあっさりでしたが、そこに至るまでの過程はとても丁寧で読んでいて楽しかったです。

 

特に革命へ向かう流れの中で、ヘルミナがしっかりと自分の役目や立ち位置を自覚して動いていたところはとても良かった。
少しずつ周囲を味方として取り込んだり、革命派の前で堂々とした振る舞いをみせたりと、自分ができることは最大限にこなしてハンデすらも利用しつくそうとするヘルミナ。
病弱でベッドから起き上がることもままならないような状態なのに、目的のために貪欲に邁進していくところが印象的でした。
そしてその根底にあるのは王族としての自分を意識した高潔なまでの責任感。うーん、格好いいヒロインだなぁ。

たしかに「死にかけ花嫁」だし作中でも頻繁に倒れているのですが、ヘルミナの言動には強い生命力を感じるのです。そこがまた魅力。

 

とはいえ、ヘルミナの強い生命力は、か細い「生」を瞬間的に使い尽くそうとしているようにも見えてハラハラさせられるのですが。
そんな刹那的ともいえるヘルミナを変えていくのがカエサルとの恋。
カエサルはヘルミナに振り回されっぱなしではなく、彼女の行動を理解してサポートしていく「対等の同志」という感じが良かったし、その中でチラチラと恋心が混じっていくところにはすごく萌えましたw
ヘルミナに嗜虐心をゾクゾクさせちゃうところには笑ったけれど。病人にSっ気を発揮してはいけません。

 

ラストのゼノンにもうちょっと粘ってほしかったのと、ランスが物語的に都合良く動きすぎたのは気になりましたが(彼の行動はあまりにもおバカすぎて国から出した父兄の判断を疑うレベル)、革命の中で生まれる恋の物語としては読み応えがあってとても満足しました。

綺麗に終わったから続きはないのかも?

藍川さんの次回作も楽しみにしています(^^)/

死にかけ花嫁と革命の鐘 (コバルト文庫 あ 23-20)
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藍川 竜樹
集英社
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