神さまになりまして、ワガママを叶えました。/石田リンネ


神さまになりまして、ワガママを叶えました。 (ビーズログ文庫アリス)
神さまになりまして、ワガママを叶えました。 (ビーズログ文庫アリス)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

前巻の感想はこちらから


評価:★★★★☆
2016年4月刊。
新米神さまと過保護な守護代たちが不可思議な事件を解決していく和風ファンタジー第2弾。
前巻よりもさらに千鳥の秘められた内心に迫っていき、その結末に感動しました。前巻といい今巻といい、本当に切なくて優しい良い作品だと思います。

☆あらすじ☆
自分を支える〈守護代〉の面々と、関東の土地神〈守護〉としての道を歩みはじめた千鳥。最近の楽しみは新米守護代・帯刀の成長を見守ること! そこへ、京都で幼い子供が消える“神隠し事件”が起きているとの報せが。見た目から「京都立ち入り禁止」を言い渡された千鳥は、柏を代役にして神さま会議も欠席に。衝撃を受けながらも、代わりに「あちらの世界」のカラスが多数出没しているという浅草に出向くが――そこでも“神隠し”が発生して……!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

今回は「カラス」と「神隠し」の謎に迫っていくストーリー。
事件を究明していくなかで千鳥について更に掘り下げられていき、「千鳥」と呼ばれるこの新米神さまの人物像が明らかになっていきます。

他者に対して無自覚に「壁」をつくってきた千鳥。
自分と他人をきっちりと分けてしまうその「壁」の残酷さが再び浮き彫りになり、なぜ千鳥が「壁」の内側にこもってしまったのかという理由が少しずつ語られていくのです。

 

自分本位とも臆病ともいえる千鳥の在り方には寂しさを感じてしまいましたが、その原因を知ると然もありなん。
彼の外見のことは前巻から少し気になってはいましたが、たしかに日本という土地柄を考えるとさぞ生きづらかったことでしょうね。
のほほんとした千鳥から迫害のイメージが結びつきづらいのは彼の努力のたまものだと言えるのかも。なんて悲しい努力。

それでも少し視点を変えれば幸せに気づけただろうに。
今になるまでそれが分からなかったのはトラウマのせいなのか、齢400年越えの頭の堅さゆえなのか。
ある意味、千鳥はとてもガンコなおじいちゃんなのかもしれませんw

 

そうやって無意識に「昔」に閉じこもったまま、自分を追い詰めていく千鳥。
役に立たねばならないという千鳥の焦燥感があまりにも切なくて、堪らない気持ちになりました・・・・・・。

 

そんな千鳥を救うきっかけを作ったのは「今」を生きている帯刀。
ここにキャラ配置の妙を感じます。帯刀の現代っ子設定の使い方がとても上手い。
現代だって容姿への偏見がなくなったとは言わないけれど、少なくとも千鳥が囚われ続けてきた「昔」よりは断然生きやすい時代にはなっているはず。
熱くなるわけでもガムシャラになるわけでもなく、あくまで自然体のまま千鳥たちに「今」を見せていく帯刀のキャラがすごく好きです。

 

柏のキャラもよく立ってきていると思います。
優しげに見えて実は苛烈な柏のキャラも好きなので、今回もなかなかに激しい側面を見せてくれて楽しかったです。
でも帯刀に甘い理由には笑ったw もっとドライな理由かと思ってたのに、野生の本能ww

 

前巻も思ったことですが、登場キャラがみんな個性的で良いんですよねぇ。
そしてキャラ同士のつながりも素敵。
この作品って、じれったくもあたたかい絆の物語なのだと思います。たとえどれだけすれ違っていても、そこにある確かな愛情に心が和みます。皆が皆、本当に優しいんだよなぁ。

 

今回は世界観も少し掘り下げられて独自性が強くなってきたのも良かったです。
「カラスさま」と東雲の関係とか、垣間見えてきた「神話の続き」とか、もうちょっと詳しく知りたいところ。続編に期待しましょう。

 

というわけで、3巻も楽しみに待っています!

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。