眠れる森の夢喰い人 九条桜舟の催眠カルテ/山本瑤


眠れる森の夢喰い人 九条桜舟の催眠カルテ (集英社オレンジ文庫)
眠れる森の夢喰い人 九条桜舟の催眠カルテ (集英社オレンジ文庫)

評価:★★★★☆
2016年4月刊。
他人の夢を見てしまう主人公が催眠療法士にスカウトされ、彼と共に悩みを抱える人々の心を救っていく物語。
悪夢と苦悩とお布団のお話でした。私も高級おフトンに包まれて快眠したい。
患者の苦悩が具象化した悪夢に入り込むという設定なのですが、一見穏やかな雰囲気の中に溶け込んだ「毒」が心にびりびりと響くストーリーでした。
登場人物達は賑やかで魅力的でしたが、まだ明かされていない彼らの背景がとても気になります。
ぜひシリーズ化してほしい!

☆あらすじ☆
他人の夢が見えてしまう能力を持つ砂子は、勤めている寝具販売店で奇妙な客にスカウトされる。彼の名は、九条桜舟。催眠療法士を名乗る彼に、患者が苦しむ原因を深層心理から取り除く“獏”に勧誘された砂子が出会うのは、美しくもアクが強い三人の獏達と、不安や苦しみを抱えクリニックを訪れる患者達…。その心に秘められた謎に迫るサイコロジカル・ミステリー!

以下、ネタバレありの感想です。

 

他人の夢を見てしまう能力をもち、快眠アドバイザーとして寝具店シボラに勤める阿形砂子
彼女の能力に目を付けた催眠療法士・九条桜舟のスカウトをきっかけに、砂子は桜舟の仕事を手伝うことになる、というのが本作のストーリーです。

 

物語は2人の患者を扱う2本立ての構成となっているのですが、特に面白かったのは2本目の「幸福な箱」

「幸福」という言葉に縛られ追い詰められ、そうして自分を見失ってしまった女性。
他者の目を通さなければ自分の幸せが何かすらわからない。そうして心を壊してしまった彼女の姿はとても痛々しくて愚かしく見えたものの、馬鹿な女だと切り捨てるには身に覚えがありすぎて複雑な気持ちになるエピソードでした。

他人から幸せな人だと思われたいという気持ちも、他人から惨めな人だと思われたくないという気持ちも、どちらも理解できてしまいます。特に後者。上から目線の同情ほど心を抉るものはないのです。
でも他人って、自分たちが口にするほどの関心を持ってはいないんですよね。それも知ってる。それでも気になるのが他人の視線なんだよなぁ。

一度意識してしまった視線を振り切るのは大変だけれど、中身のない箱に閉じこもっていても前には進めないんですよね。思わず自己を省みてしまいました。

 

ストーリーの面白さを支えるキャラクターたちも個性豊かで魅力的。
主人公の砂子は、自身も悩みを抱えているのに人の役に立ちたいという強い思いを揺るがさないのが印象に残りました。仕事にプライドを持っているのも格好いい。

そんな砂子を振り回すことになる桜舟についてはまだまだ謎が多い感じ。包容力があるようにみえて一線引いてる彼の過去が気になります。

砂子の同僚?仲間?となる「獏」たちも桜舟同様ミステリアス。
彼らそれぞれの事情は触りくらいしか語られていないので、詳細がとても知りたいです。特に内藤さんの闇は深そうな予感。

 

良いスタートを切った新作だと思います。

余談ですが、私も砂子の快眠アドバイスと手足マッサージと高級オフトンがほしい。寝具って高いモノは三度見するくらい高いんですよねー・・・。
あと枕の高さはたしかに重要! 私も自分の首の形?に合った枕に買えたら、寝ている間に枕を弾き飛ばさなくなりました。

 

キャラの背景と更なる快眠アドバイスを知りたいので続刊に期待しています!

 

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