ここは神楽坂西洋館/三川みり


ここは神楽坂西洋館 (角川文庫)
ここは神楽坂西洋館 (角川文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★☆☆
2016年2月刊。
「シュガーアップル・フェアリーテイル」の三川みりさん初の現代小説。
無口で愛想のない大家さんが守る下宿を舞台に、不器用な住人達が頑張ったり支え合ったりする姿にほっこりとする作品でした。

☆あらすじ☆
「あなたもここで暮らしてみませんか?」 心がほっと温まる下宿物語。
都会の喧騒を忘れられる街、神楽坂。婚約者に裏切られた泉は、 路地裏にひっそりと佇む「神楽坂西洋館」を訪れる。 そこで植物を愛する若き管理人・藤江陽介と出会うが、 彼にはちょっと不思議な特技があって?

以下、ネタバレありの感想です。

 

結婚を間近に控えた時期に、新居予定だった場所で婚約者の浮気を見てしまった小野泉
引っ越し寸前で住む場所がなく、契約も切っていたため職もなく、恥ずかしさから頼る人もいなかった泉は、不動産屋の紹介で下宿「神楽坂西洋館」を訪れて・・・・・・というところから物語は始まります。

 

この主人公の事情が初っぱなからパンチありすぎでした。
自分の現状が恥ずかしいから家族とも友達とも連絡とりたくないし、むしろ自分の存在を消したいって思う気持ちはちょっと分かる。そういうときもありますよね。
泉の不幸はそういうタイミングに色々と重なりすぎたことだけれど、まぁそれで「神楽坂西洋館」に辿り着けたなら世の中悪いことばかりじゃないものです。

 

そんな泉を受け入れた「神楽坂西洋館」。
大家の藤江陽介や料理人の三島貴弘をはじめ、住人は揃いも揃ってワケあり揃い。
本作は「神楽坂西洋館」にしか居場所がない彼らに少しずつスポットを当てて掘り下げいく連作短編となっていました。

 

どの短編も面白かったのですが、特に強く印象に残ったのは「沈黙の秋の海」
「無知は人を傷つける」けれど「知らないことを責めることはできない」。そうだよなぁ、と思わず頷いてしまいました。
知らない人には教えてあげればいいんですよね。黙っていても察してくれるなんて幻想ですから。
ちょっと自分を振り返りたくなる一幕でした。

 

最後は住民揃って神楽坂西洋館存続に向けて頑張るわけですが、こういう話って好きなんですよねぇ。
下宿ものの醍醐味みたいなところがあると個人的に思っているのでw
パッと見ふざけているような作戦会議や、あまり感情を表に出さない陽介が感極まったところとかすごくグッときました。大事な居場所を皆で守ろうとする連帯感が心地よい。

 

さて、一応綺麗に話はまとまりましたが、三島さんの事情とか月下美人さん(正体というか姿が衝撃)についてはまだ掘り下げる余地がありそうですね。
最後に「おや?」とニヤニヤしてしまった泉と陽介の恋も気になるところ。

続刊に期待しています!

 

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