0.2ルクスの魔法の下で/嶋志摩


0.2ルクスの魔法の下で (GA文庫)
0.2ルクスの魔法の下で (GA文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2016年4月刊。
GA文庫大賞「奨励賞」受賞作。
異世界に行きたい少女と、彼女の手伝いをすることになった少年の物語。
話の運びや物語全体の雰囲気がとても好みな作品でした。
「魔法使いの孫娘」というヒロインから生まれる現代のフェアリーテイルっぽさがすごく良かった。
オチに少しだけ物足りなさを感じてしまったものの、読後感は爽やかで良かったし、ここまで楽しませてくれたなら満足です。

☆あらすじ☆
藤倉リザはこの世界でたった一人の“魔法使い”
僕は彼女を――不幸にする。
「どうやってその字を読んだの? この世界の文字じゃないのに」
ある日高校生の東圭輔は、校内で有名な不良娘、藤倉リザの前でうっかり異世界の文字を読んでしまう。リザは誰もが美少女と認めるが、跳ねっ返りで友達がいない孤高の存在。そして自称“あちら側の世界”の魔法使い……の孫娘。“あちら側の世界”に憧れる彼女は、祖母の遺産を紐解き世界を渡る手伝いをしろと付きまとうが――。
「幽霊少女がユニコーンの角を盗んだに違いないわ。あなたも手伝いなさい!」
嘘吐き少年と不良少女が織りなす、学園ミステリックファンタジー。

以下、ネタバレありの感想です。

 

どんな文字でも意味を読み解けてしまう「絶対読感」を持つ少年・東圭輔
学校の二大問題児のひとり藤倉リサにその能力がバレた圭輔は、リサの祖母が残した異世界の文字を解読することでリサが異世界へ行くための手伝いをさせられることに。

 

というわけで異世界への扉を開くための材料を集める話なのですが、「魔法使いの祖母が残した魔法の道具を集めていく」というロマンチックで童話的な設定がとても素敵。
マンドレイクやユニコーンの角といった不思議物体が次々と登場し、現代日本が舞台にもかかわらず西洋のフェアリーテイルっぽさを感じる作品でした。こういうのすごく好みなんですよねぇ。

 

一方で、圭輔協力の見返りがパンツだったりユニコーンの角を持っていた幽霊少女の正体がアレだったりと、ところどころガクッと脱力してしまう展開もあったりw
ふわふわとした幻想的な部分と、シュールでコミカルな現代劇のカオスっぷりが楽しい作品でもありました。

 

ツンツンしたリザと、腹に一物を抱えていそうな圭輔のコンビも魅力的。
特に圭輔は途中の過去エピソードで腹黒アピールされていたので、その設定が後々どう生きてくるのかと思いきや。
・・・・・・いやー、これは腹黒い。まさに鬼畜の所業ですね。
少しヘタレな雰囲気はあっても、リザの夢を叶えるため真摯に協力していると信じていたのに!!この裏切り者め!!

 

結果的にはリザを裏切ったことになるけれど圭輔には圭輔の事情があった、というのがこのお話のミソだったわけですね。
ただ、途中で意味深かつ深刻に語られていた「圭輔がリザを不幸にする」のオチとしては肩すかし気味ではあったかな。もう少しシリアスに振るかと思っていたので。

もっとも、今川早奈からの手紙については面白い伏線だったと思います。
早々に事情を察することはできたものの、こういう仕掛けは嫌いじゃないです。満を持して登場した早奈もなかなか良いキャラでしたし。

 

圭輔に裏切られたリザが不憫で仕方なかったものの、ラストシーンは居場所のなさから異世界に憧れたリザへの救いになっていて素敵でした。
爽やかな青春を予感させる良い読後感で満足しました。

 

新人賞作品らしい意欲を感じる良い作品だったと思います。
ストーリーは綺麗にまとまっているので1巻完結かな?
次回作にも期待しています!

 

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