マグダラで眠れ/支倉凍砂


マグダラで眠れ (電撃文庫)
マグダラで眠れ (電撃文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

評価:★★★★☆
2012年7月刊。
長らく積んでいましたがようやく読了。面白かったー!
外法の錬金術師と白い修道女の物語。
ある錬金術師の死の謎と彼が残したものを探っていくストーリーで、最初は悪い男2人に手玉にとられるヒロインの姿にハラハラしていたのですが、終盤にかけて一気に面白くなる作品でした。
そして「マグダラで眠れ」というタイトルが秀逸すぎる。
これは続きも楽しみです(*˙︶˙*)

☆あらすじ☆
『狼と香辛料』 の支倉凍砂が放つ“眠らない錬金術師”の物語、開幕!!
人々が新たなる技術を求め、異教徒の住む地へ領土を広げようとしている時代。錬金術師の青年クースラは、研究の過程で教会に背く行動を取った罰として、昔なじみの錬金術師ウェランドと共に戦争の前線の町グルベッティの工房に送られることになる。 グルベッティの町で、クースラたちは前任の錬金術師が謎の死を遂げたことを知る。その足で出向いた工房。そこでは、白い修道女フェネシスが彼らを待ち受けていた。彼女はクースラたちを監視するというが ──? 眠らない錬金術師クースラと白い修道女フェネシスが紡ぐ、その 「先」 の世界を目指すファンタジー、ついに開幕!

以下、ネタバレありの感想です。

 

神への冒涜の罰として、とある錬金術師が不審な死を遂げた街の工房に送られることになった錬金術師クースラ
そこで彼は相棒となる錬金術師ウェランドと、彼らを監視する修道女フェネシスと出会い、錬金術師の死の謎と彼が求めた「マグダラ」を探すことになるのです。

 

錬金術師というと作品によってはファンタジー満載に魔法使い的に描かれたりもするのですが、ここでの彼らは化学的な研究者。
実際の錬金術師たちもこんな感じだったのかなぁ。冶金をここまで丁寧に扱う作品は読んだことがなかったので新鮮で面白かったです。

 

そしてこの作品の錬金術師達は、真っ当な職人ならルールを恐れて手を出せない部分にも、自分のマグダラ(夢)を求めてガンガン突き進んでいくある種の狂気を抱えた人々。
主人公のクースラも、冒頭から恋人の死を前に冶金のことばかり考えていたと自分の頭のおかしさを自嘲していたのが印象的でした。

 

そんなクースラたちの監視をすることになるフェネシス。
あまりにも素直すぎて、ウェランドとクースラの2人がかりで騙されてるような彼女をみていると不憫な気持ちになってしまいました。
コロコロと手玉にとられてもからかわれても、少しずつクースラに懐いてしまっているところとか、そこが可愛いんだけど、相手的に大丈夫かとハラハラ・・・・・・。

 

しかし終盤でそんな心配も(ある程度)払拭されることに。

 

クースラがフェネシスに自分のマグダラについて語るシーンがとても好き。
「恋人の死」という事実がフェネシスの言葉によって違う光を当てられた瞬間、救いをみたような気がしました。
見方を変えてもやっぱり私には理解しきれない思考回路ではあるけれど、最初の印象よりは全然こちらの方が好ましいじゃないですか。
ふわふわと掴めなかったクースラのキャラをようやく好きになれた瞬間でもありました。

 

フェネシスも、色々とイメージが変わったなぁ。
どれだけこの世界で宗教が浸透し絶対化しているのかを思えば(かなり忠実な中世ヨーロッパがモデル?)、彼女の「異端」がどれだけ彼女を苦しめているのか想像できてしまうものです。
生きていくのだけでも本当に大変だっただろうに、それでもこんなに素直な性格であることが彼女の歪みなのかなぁ。

 

フェネシスの秘密を知り、そこに自身のマグダラを見たクースラは、これから彼女とどんな関係を築いていくのでしょうか。色々期待してもいいのかなw

 

面白かったです。
「マグダラで眠れ」というタイトルも良い。あれは黒幕に対してだけでなく、クースラ自身も抱え続ける言葉なんでしょうね。
夢に生きて、夢に死ぬ。そんな錬金術師たちの生き方は素直に格好よかったです。

 

引き続きシリーズを読んでいこうと思います。

マグダラで眠れ (電撃文庫)
支倉 凍砂
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