廃皇子と獣姫の軍旗


『廃皇子と獣姫の軍旗』(田代裕彦著/ファミ通文庫)★★★★☆

廃皇子と獣姫の軍旗 (ファミ通文庫)
廃皇子と獣姫の軍旗 (ファミ通文庫)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2016年3月刊。
政争に負けて国を追われた主人公が、亜人の国に流れ着いて祖国と対峙するファンタジー戦記。
主人公の底知れない雰囲気がとても好みでした。
こいつは何をやらかしてもおかしくないと思わせると同時に、きっと何とかしてくれるに違いないという安心感を与える主人公って良いですね。
ストーリーも面白かったし、今後ますます面白くなりそうな予感!
期待しています(*゚▽゚)ノ

☆あらすじ☆
国を追われた王子と獣の姫、宿命の出会いから始まるファンタジー戦記!
《黒狐》と怖れられるアルガンド帝国の皇太子ウィルフレド。獣の半身を持つ亜人族との一戦に勝利した彼は、唯一人、人の姿をした《獣姫》を捕縛し帰国する。しかし凱旋した彼に《偽嫡》の嫌疑がかかり、喝采から一転、ウィルフレドは罪人となってしまう。そんな彼の前に現れたのは《獣姫》ククル。先んじて解放していた彼女に救われたウィルフレドは、彼女と共に亜人達の元へ身を寄せるが――。獣の姫と大帝国に牙を剥く、本格ファンタジー戦記登場!

以下、ネタバレありの感想です。

 

華々しい戦果をあげてきたにも関わらず、留守にしていた間に宮廷内の政争に敗れ、「偽嫡」の疑いをかけられて国を追われることになった皇太子ウィルフレド
事前に逃していた捕虜のクルルに命を救われたウィルフレドは、そのまま彼女と共に亜人の国へと流れ着くことに。
人間を敵視する亜人の国でなんとか暮らし始めたウィルフレドは、クルルへの恩義と自分の身の安全のため、亜人と祖国の戦いに介入していくことになるのです。

 

これは貴種流離譚系のファンタジー戦記になるのかな。

ただし、ウィルフレドとしては「祖国に舞い戻ってやる!」とか「政敵どもに復讐を!」という熱意はなく、「とりあえず生き延びよう」という発想から現状を乗り越えていくスタンスなのが面白いです。

適度に肩の力を抜いていて、飄々とした態度で苦難を切り抜けていくところが格好いい。
それでいて、何を考えているのか読めないミステリアスなところがあったり、亜人の生態解明に興奮する変態子どもっぽいところがあったりと、色々な顔を見せる楽しい主人公でしたw

 

ウィルフレドは今後の身の振り方をどこまで考えているんでしょうねー?
基本的に戦いは避けたいようだから、亜人の国を大きくして帝国に攻め込むようなことは考えていなさそうですが、状況が変わればあっさりと「じゃあ攻め込んでみようかー」とか言っちゃいそう。

 

ウィルフレドの物語としても面白かったのですが、戦記ものとしても戦況がどこから生じてどう進んでいくのかが分かりやすくて良い作品でした。
あまり小難しくならず、テンポ良くストーリーを進めてくれるので最後まで楽しめましたしね。説明の入れ方が上手いんだろうなぁ。

 

両陣営の思惑や内部での勢力図も興味深く、それぞれが今後どう動いていていくのか楽しみです。
しかし、今後の帝国攻略の足がかりになりそうな「ウィルフレド派」をあっさり自分の作戦に利用したウィルフレドに戦慄。やっぱりこの主人公はどこかヤバい(ワクワク

 

今回は快勝したウィルフレドですが、終盤に登場したグラウディオは強力なライバルになりそうな予感。
ウィルフレドもなかなか狡猾ですが、グラウディオはウィルにとって嫌な手を好きこのんで打ってきそうですしね。

とりあえず、ラストのグラウディアが選んだ一手をウィルがどう乗り切るのか見物です。
これが熱血漢ヒーローなら苦悩しまくる展開になるのでしょうけれど、ウィルは読めないw
基本的に身内には優しいけれど、戦況のためならあっさり敵として切り捨ててもおかしくないような・・・・・・いやいやまさかね(;`・ω・)

 

今回おかれた伏線が今後の展開でどう使われていくのかも楽しみです。
特に「獣姫」クルルの正体とかウィルの推測が真実を掠めているのなら、政敵に対する有効なカードになるのだろうか。

あとは、カマラサの「毒であり薬」というウィルフレド評。
ウィルの強すぎる才覚は亜人たちの意識に何を植えつけるのか。
今回の戦いで大きく扱いが変わることになるのは間違いないでしょうし、ウィルがこれから亜人達にとってどんな存在になるのかを思うと無性にハラハラしますw

 

ラストは良い引き方をしたので、次巻がとても楽しみです!

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。