吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる 〜Long Long Engage


『吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる 〜Long Long Engage』(野村美月著/ファミ通文庫)★★★★☆

吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる ~Long Long Engage
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前巻の感想はこちらから


2016年2月刊。
打ち切りになってしまった「吸血鬼」シリーズの後日談的外伝。
主要人物の最期を描く後日談を読むのが苦手なので「母を失い」というあらすじにビクビクしていたのですが、この本は読んで良かったと思います。
本編で消化不良だった様々な伏線を回収してくれてスッキリしました。
でもやっぱり本編で読みたかったなぁ・・・・・・。

☆あらすじ☆
私の父は吸血鬼だ。母を失い、それでも永遠を生きる父に――私は恋をした。
交際していた男性のプロポーズを、私、ミナ=アリス・原田は「父を置いていけない」という理由で拒絶した。私が五歳のときに死んだことになっている父、原田詩也は、不老不死の吸血鬼だ。母と出会い、恋に落ち……けれど母は、父のそばにはいられなかった。だから私が、ずっとそばにいる。そのために私はある決意をした。父を置いていった母に、負けたくなかった――。運命と別離、超克、そして永遠の恋。娘の視点から綴られる、ある吸血鬼の過去と現在の物語。

以下、ネタバレありの感想です。

 

物語は、詩也と綾音の娘であるミナ=アリス・原田を語り部として、回想録のように本編後の詩也たちの物語を描いていきます。

 

そこで語られるのは、打ち切りにならなければ本編で1冊ずつ使って展開されたであろうエピソードの数々。
あと4、5冊あれば・・・・・・と思うと残念でなりません。
そんな内容をこの外伝1冊に詰め込んでいるため、どうしてもプロットを読まされているような、あるいはダイジェスト化された総集編を読んでいるような気持ちになるんですよね。ストーリーの良さが伝わるだけに勿体なくて仕方ない。

 

とはいえ、伏線未回収のまま未完だった本編を補完するものとしての役割は十分に果たしていると思います。
特に雫絡みの話は気になって仕方なかったので、この本の発売には感謝。
雫の恋が本当はどんなものだったのかとか、いち子女史との関係とか、モヤモヤしていた部分が綺麗に明かされてスッキリしました。

 

意外だったのは、繭奈の吸血鬼化。
「吸血鬼」という存在について掘り下げるために必要なエピソードだったわけですが、この背徳的な姉弟の話をもっとしっかり読みたかったなぁ。

 

このエピソードも含め5巻以降で物語が大きく動く予定だったことを考えると、本題に入る前に打ち切った判断に恨みを言いたくもなります。
今や長期的なシリーズ構成はできない時代なのかな、と思うと寂しい。

 

さて、過去だけではなく現在についても外伝は語っているわけですが、ミナがやたら「父を置いていった母」という言い方をするんですよね。
ちょっと、綾音はどうなったの!?と散々やきもきさせられました、が・・・・・・ああ・・・・・・。

 

個人的には、シリーズが終わった後に主人公やヒロインの最期を描く後日談は好きではありません。「めでたしめでたし」のその後はご想像にお任せして頂きたいというか。
ただ本作は(そもそもシリーズ未完だし)永遠を生きる吸血鬼の恋を描くためにも「パートナーの死」は切り離せない要素なのでしょう。
どこかそういう予感はあったので、自分にしては意外と落ち着いて結末を受け入れられた気がします。

 

でもやっぱり切ないなぁ。別れが早すぎるよ。

 

ミナ自身は恋を振り切れたようだけど、詩也はこのまま「永遠の恋」を抱き続けるんですよね・・・・・・。
現在の詩也の内心には全く触れられませんでしたが、ミナの目から見ても寂しそうな詩也の姿がとても儚げで印象的でした。

 

あとがきの近況報告が心臓に悪いのが定番化してるのは、本当に大丈夫だろうか。どうかご自愛ください(´・ω・`)

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