雨の日も神様と相撲を


『雨の日も神様と相撲を』(城平京著/講談社タイガ)★★★★★

雨の日も神様と相撲を (講談社タイガ)
雨の日も神様と相撲を (講談社タイガ)【Amazon】【BOOK☆WALKER】

2016年1月刊。
相撲をよく知らないので迷っていたのですが、これは読んで大正解でした。めっちゃ面白かった!!
相撲に愛された少年が、相撲が価値を持つ村で、相撲好きの神様のコーチを務めることになる物語。
神話や伝承を織り交ぜつつ語らえる良質な伝奇小説であり、トランク詰めの奇妙な死体から始まる推理小説でもあり、ボーイ・ミーツ・ガールな青春小説としても爽やかでによによする読後感が得られるという、なんとも贅沢な1冊でした。
特にラスト十数ページで明かされる衝撃の真実には、ふふっと笑いながら「やられたー」と白旗をあげてしまいました。こういうの大好きです!

☆あらすじ☆
「頼みがある。相撲を教えてくれないか?」神様がそう言った。子供の頃から相撲漬けの生活を送ってきた僕が転校したド田舎。そこは何と、相撲好きのカエルの神様が崇められている村だった!村を治める一族の娘・真夏と、喋るカエルに出会った僕は、知恵と知識を見込まれ、外来種のカエルとの相撲勝負を手助けすることに。同時に、隣村で死体が発見され、もつれ合った事件は思わぬ方向へ!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

相撲好きの両親に育てられ、子どもの頃から相撲に明け暮れてきた中学生・逢沢文希
両親の死をきっかけに、相撲が大きな価値を持つ豊かな農村・久々留木村へと引っ越した文希は、そこで出会った遠泉真夏を介して、カエルの神様から「外来種のカエルに勝てるように相撲を強くしてくれ」と頼まれることに。
そうしてカエル様のコーチをしたり、隣村での死体遺棄事件の真相を推理したりしながら、文希は久々留木村とカエル様の間に秘められた様々な真実に触れていくことになるのです。

 

まず第一に伝奇小説として面白かった本作。
日本神話を紐解きながら相撲を語るだけでなく、この物語そのものも神話や伝承の文脈に即して描かれていくのがとても楽しい。
赤いカエルや文希を「外からやってきた神」や「外からやってきた異人」にたとえたり、「カエルの花嫁」に隠された真実を神話的に読み解いたり。物語そのものの結末についても、カエル様が軽快にオチをつけてくれましたしね。
こういう伝奇小説が読みたいなって思ってた私にピッタリな作品でした。すごい満足感。

 

気がかりだった相撲の取り込みシーンについては、文希たちのコミカルな掛け合いを通して相撲の技術解説を挟んだりしてくれるため、普通のスポーツ小説のように堪能することができました。
相撲をテーマにした作品はほとんど読んだことがなかったのですが、そんな私でも楽しめるくらい随所に工夫が凝らされている作品だったと思います。
ああ、でも技名を言われても映像が浮かばなかったのでそこだけはググりましたが(;`・ω・)

 

相撲にまつわる伝奇小説のつもりで読んだのに、推理小説としても面白かったことは嬉しい誤算でした。
トランク詰めの死体と外来種のカエルの存在から、あそこまで謎を解き明かせる中学生ってすごい!とか思っていたのに、読み誤った部分が中学生らしくて和んでしまいました(´∀`*)
まぁ、そんな愛憎たっぷりの真相を悟れって言われても無理ですよね。

 

そして何より青春小説として傑作だと思えた本作。

両親の願いを受けて懸命に相撲に励んできたのに体格に恵まれず、それでも何とか頑張ってきた自身を投影するかのような赤いカエルを自らの助言で倒さなければならない文希。
そんな彼が何度も口にする「自分は何のために相撲をやってきたのか」という問いかけは、理詰めの相撲を極めても体格差を覆すことができない文希の自虐的思考の発露かと思っていました。
まさか、その答えがあそこまで爽やかなものになるとは・・・・・・。文希の潔さと格好良さに痺れるしかない。

 

そんなわけで文希の相撲にかけた青春を描く小説としても十分に満足できる作品なのですが、それだけでは終わらないのがこの作品の素晴らしいところ。

あれだけおどろおどろしく村の秘密を解き明かしておいて、気味の悪い因習に頭を悩ませておいて、あんなに爽やかに真夏を文希に救わせておいて、オチはそれか!!!!

なんということでしょう。全ての中心にあったのは相撲でも伝奇でも推理でもなく、ボーイ・ミーツ・ガール・・・・・・!
思わず声に出して笑ってしまいました。実に鮮やかすぎるどんでん返し。完敗です。

 

それはさておき、あれもこれも全部カエル様にバラされてしまった真夏は不憫すぎませんかw
あと、文希の真夏に対する態度から好意を読み取るのが難しすぎて、唐突に素直なデレにニヤニヤしました。ツンデレか!

 

最高に面白い青春伝奇小説でした。
城平京さんの作品ってスパイラルとテンペストしか読んだことがなくて小説は初読みだったのですが、他の作品も読んでみたくなりました( ´ ▽ ` )

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「雨の日も神様と相撲を」への6件のフィードバック

  1. 買うか悩んでて恋愛もありそうだけど相撲?って思ってたのでありがとうございました!

    1. 茶一こりんさん、コメントありがとうございます!

      相撲は悩ましい要素ですよねw
      本当に良い作品でしたよ〜。是非読むことをオススメします( ・ㅂ・)و ̑̑

  2. 城平京さんの作品で伝奇とかミステリーが気にいったなら
    講談社文庫の虚構推理もオススメですよ^^
    妖怪達の知恵の神として妖怪関係のトラブルを解決する少女と
    とある妖怪の肉を食べて特殊な力を持つ青年の物語です。
    でも推理と銘打ってますけどスパイラルの様な推理ありません^^;
    (作者さんも認めてますw)おおまかに説明すると都市伝説から生まれた亡霊をどうにかしようとする物語です。

    1. カナタさん、コメントありがとうございます。

      「虚構推理」タイトルだけ耳にしたことがあって気になっていたんですが、そういう感じの話だったんですね!
      伝奇系の話ならかなり気になります(`・ω・´)
      情報ありがとうございます!

        1. 積読が多くて小説は後回しになりそうだったのですが、漫画版ならサクッと読めそうですね。
          了解です!アドバイスありがとうございます( ・ㅂ・)و ̑̑

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