打算あり善行冒険者1


『打算あり善行冒険者1』(唯野皓司著/ヒーロー文庫)★★★☆☆

打算あり善行冒険者1 (ヒーロー文庫)
打算あり善行冒険者1 (ヒーロー文庫)

2016年1月刊。
「感謝」だけを求めて善行を繰り返す冒険者が主人公の異世界転生ファンタジー。
自分の行動が打算によるものだと割り切り、自分のためにならないことは関わりたくない。そう思っているのにドライになりきれない人情味ある主人公がなかなか格好良い作品でした。
すぐに話が横に逸れるのが気になったものの、ストーリー自体は面白かったです。
無理ゲーすぎるボランティア人生の行く末がどうなるのか気になるので、続きがとても楽しみな新作です。

☆あらすじ☆
シルトバニア辺境伯領、ボルディアナ。その城塞都市は、多くの若者が一攫千金や立身出世を夢見てやってくる、冒険者の街。シンはそのボルディアナで活動する冒険者だ。彼の名は、魔物退治をして稼いだ金銭の多くを寄付し続ける善行冒険者として知られていた。シンがそうするのには理由があった。彼は普通の高校生活を送っていたが命を落としてしまい、再び人間としての人生を送る代わりに、異世界で善行を行い、他者から多くの感謝を得ることを義務付けられたからだ。だが、いくら頑張っても天界で課されたノルマを達成できそうになく、焦りだすシン。そんな折、ボルディアナのギルドに、ある依頼が飛び込んできた―。高校生が剣と魔法の世界で大活躍!!!

以下、ネタバレありの感想です。

 

主人公シンは、一見すると何の得にもならない「善行」を繰り返し、見返りに「感謝の気持ち」だけを求める風変わりな冒険者。
しかし彼の「善行」には、他者からの感謝によって得られる功徳ポイントのノルマを達成し、サナダムシになってしまう来世を回避したいという打算ありきのものなのです。

 

そんなシンの善行人生のサポーターを務めるのが転生担当者のポンコツ天使・ジルとジルを溺愛する変態天使・セシリア
ジルの食欲とセシリアの変態行動に振り回されつつ、シンが善行によってせっせと功徳ポイントを稼いでいく、というのが本作の大まかなストーリーとなります。

 

この打算ありきの善行というのが面白い設定でした。
善行を繰り返していても、根っからの善人気質というわけではないシン。
失敗すればサナダムシという脅しを受け続けながら、自ら望まないボランティアを強いられる人生というのは辛いでしょうね。
しかも善行をしたところで感謝が返ってくるわけではない上に、ポイントという形でハッキリと相手の感謝の度合いが分かってしまうというのが本当にきつい。

 

さらに辛いのは、冒険者としてシンが活躍するためには、功徳ポイントを使って肉体強化をしなければならないということ。
使ったポイントの分だけ感謝が返ってくればいいけれど、相手が感謝をしてくれない人間だったり、選択をミスすれば大損。
なんて鬼畜ゲー・・・・・・。
これはシンがちょっと荒んだ気持ちで善行相手をシビアに選ぶのも仕方ないです。

 

それでもシンは善行を繰り返すしかないわけですが、シン自身がドライになりきれない性格なのは好印象でした。
孤児院の子どもたちからのプレゼントをもらうシーンは私まで胸が熱くなって(´;ω;`)
ポイント制で相手の感謝が分かるっていうのは、悪いことばかりじゃないんだと強く感じるシーンでした。

 

それにしても、シンはこの人生でノルマ達成できるのでしょうか。
ポイント獲得のペース的に本気で無理そうなんですが。
本人は嫌悪していましたが、本当に「英雄」になるしかないのでは・・・・・・。

 

善行冒険者シンの物語としては面白かった本作。
ただ、せっかく本筋は良いのに、事あるごとに脇道にそれてしまう構成だったのは気になりました
キャラが登場する度に、メインストーリーをひとまず置いて新キャラの過去を掘り下げまくるのはちょっと・・・・・・。
今ここで彼らのことをそんなに詳しく掘り下げる必要あった?って思うことが多かったですし。もうちょっとコンパクトにまとめてほしかったかな。
まぁここらへんは個人の好みの問題かもですね。

 

構成が気になったものの、十分に面白い作品だったと思います。
キャラも良かったですし。ブレない変態のセシリアさんに笑いっぱなしでしたw
2巻も楽しみにしています( ´ ▽ ` )ノ

スポンサーリンク
 
0

「打算あり善行冒険者1」への2件のフィードバック

  1. ちょっと設定が変わっているので(大筋は変わりませんが)Web版(http://ncode.syosetu.com/n1618ck/)もお薦めしておきます。

    1. トーオリ・スガリさん、コメントありがとうございます。

      WEB版と設定変わってるんですね。情報ありがとうございます!
      WEB版みてきます( ・ㅂ・)و ̑̑

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。