全滅なう


『全滅なう』(十文字青著/一迅社文庫)★★★☆☆

全滅なう (一迅社文庫)
全滅なう (一迅社文庫)

前巻の感想はこちらから


2011年9月刊。
第九高校も小野塚那智も出てこないから、第九シリーズじゃないのかな?
青春恋愛小説という点は共通していますが。
今回は自分は連れ出した引きこもりのクラスメイトに恋をしてしまった少年の物語。
かなり不思議要素が強いのですが、青くさい片恋とその結末にニヤニヤとしてしまう作品でした。

☆あらすじ☆
優等生で学校でも評判の天川立己は、不登校の大日向夕鶴子を登校させようと画策する。次第にクラスメイトと打ち解けていく夕鶴子。そんな夕鶴子の変化に戸惑う立己。思いがけず知ってしまった夕鶴子の秘密―。どこか不思議で、もどかしいのがくせになりそうな青春ラブストーリー。

以下、ネタバレありの感想です。

 

点数稼ぎのつもりで、引きこもりのクラスメイト・大日向夕鶴子を学校へと連れ出した天川立己

物語は、「全滅因子」を抱える夕鶴子の事情に巻き込まれていく立己の苦難と、ほぼ一目惚れに近い形で夕鶴子に恋をしてしまった立己の懊悩とを交互に描いていきます。

 

あまりにも真面目すぎて恋に無縁だったため、自分の感情が恋だと認識できない立己の混乱っぷりにとてもニヤニヤしてしまいましたw
たしかに「恋する人は結婚する人!」とか15の息子がほざいてたら母としては困るでしょうねー。
ちゃんと自覚してくれて良かった、良かった・・・・・・?

 

恋を自覚したらしたで面倒くさい男になってしまう立己。
いえ、面倒くさいとか言っちゃダメですね。この思春期ならではの懊悩には結構共感できたり覚えがあったり。

 

好きな人のことばかり考えて何にも手がつかない。
好きな人が他の異性の話をしてモヤモヤとした気持ちをもてあます。
好きな人に嫌われたくないために、遠慮して、ギクシャクしてしまう。

 

わかるわかる。ちょっと青臭すぎる感はありますが、その感情自体は普遍的なもの。
それを端的に表すのが要所要所で引用される名言の数々。
引用の仕方が効果的かつ印象的でした。

 

そんな立己の不幸は、もてあました恋心をぶつけてしまった女の子が普通の人間ではなかったこと。
夕鶴子の「全滅因子」や妖精だの死神だのの設定が割と終盤まで残っていてどうするのかと思っていたのですが、ラスト30頁くらいで怒濤の展開として押し寄せてきました。
「萌神」も終盤は超展開でしたが、まだこちらの超展開の方が個人的には受け入れられるかな。

 

それにしたって、立己の恋の結末は予想外でした・・・・・・。
なんだかこの後に更なる壮大なファンタジーが続きそうな締め方。エピソード0的というか。
「ぼくの女神」という立己の言葉が全てですね。
何はともあれハッピーエンドにホッとしました。

 

面白かったです。
これで一応第九シリーズ全読破!
「ぷりるん。」、「絶望同盟」、「ヴァンパイアノイズム」、「全滅なう」、「萌神」の順で好きでした。
全部読んでも、やっぱり「ぷりるん。」は別格だったかなぁ。
他の十文字青作品も引き続き読んでいこうと思います。

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