異人館画廊2 贋作師とまぼろしの絵


『異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵』(谷瑞恵著/集英社オレンジ文庫)★★★★☆

異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵 (集英社オレンジ文庫)
異人館画廊 贋作師とまぼろしの絵 (集英社オレンジ文庫)

新創刊の集英社オレンジ文庫。
創刊ラインナップで真っ先に読んだのは、当然、谷瑞恵さんの「異人館画廊」です。信者ですから!
このシリーズ、1巻は集英社コバルト文庫の下旬発売枠で出版されたんですよね。今思えばあれはオレンジ文庫の試運転だったわけですね。
おかげで1巻と2巻の背表紙が違う・・・・・・これは買い直さねば。
さて、そんな経緯を経ての第2巻。谷瑞恵さんは新作を出すごとに主人公の女性の性格が複雑化していっているような気がします。深味が出ていると言い換えても良いですね。
透磨との関係は・・・・・・うん。気長に待ちます。長期シリーズ化してくれるって信じてる。
本題の美術ミステリーはいつも通り面白かったです。前巻よりも図像術絡みの蘊蓄が増えているような気がしましたしね。
贋作問題と並行して描かれる、関係者それぞれの「絵」に対する愛憎渦巻く感じにゾクゾクします。美術展行きたいなぁ。

☆あらすじ☆
英国で図像学を学んだ千景は祖母の営む『異人館画廊』で暮らしている。ブロンズィーノの贋作の噂を聞いた千景と幼馴染みの透磨は高級画廊プラチナ・ミューズの展覧会に潜入するが怪しい絵は見つからなかった。が、ある収集家が所持していた呪いの絵画が、展覧会で見た絵とタッチが似ていることに気づく。しかも鑑定を依頼してきたのが透磨の元恋人らしいと知って!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

今回、キューブのメンバーが調査するのはブロンズィーノの贋作騒動
ブロンズィーノの「愛の寓意」(または「愛の勝利の寓意」)が冒頭から度々登場するのですが、おそらくどこかで見たことがある人の多いのではないかという有名な絵ですね。
「愛」とは何かを問いかけるこの絵は、そのまま本作のテーマになっているように感じました。

贋作騒動の調査に絡んで、現れたのは透磨の元恋人・志津香
スランプの画家と、その弟子であった自殺した女、そして志津香。
物語は絵と贋作にとらわれた3人の関係を解き明かしながら進んでいきます。
自殺した贋作師の残したメッセージが、千景に届くまで誰にも理解されないままであったことに切なさを感じつつも、彼女の絵の意味を読み解くシーンはとても面白かったです。
それにしてもマニキュアで絵を汚すってなかなか大変だと思ったんですが、どうなんでしょう(´・ω・`;)

 

事件の調査と同時に、志津香の登場を契機に、千景は自分と透磨の関係を見つめ直していくことに
過去の透磨との記憶は戻らないままですが、今の透磨との関係は少しずつ、本当に少しずつ進んで行っているようですね。
途中まで不明瞭だった千景の行動ですが、志津香が犯人だと分かったことでハッキリした瞬間に一気に哀しいものに見えてしまいました。
愛とは何かを千景自身が理解できないし、理解しようとしない今の状況では、千景が透磨との距離に過敏になるのも仕方ないのかもしれません。
でも志津香に対する気持ちを考えれば、前巻よりは成長はある、のかな。

 

祖父母以外に自分を受け入れる人はいないと思い込む千景の心に、ゆっくりと寄り添おうとする透磨。
透磨の千景に対する想いも、恋愛というには複雑すぎて、もどかしさにあふれてます。これ以上ないくらい千景に執着しているのは分かるんですけどねw
二人の関係がこれからどうなっていくのかとても気になるし、楽しみです。

 

それにしても前巻に引き続いての華麗なる透磨の牽制。今回も笑いました。
京一がどんどん当て馬な三枚目にw
京一のチケットはさらりとゴミ箱ぽいーして、自分はちゃっかりデートに誘う透磨さん流石です。

 

今回も読み応えたっぷりでした。
それにしてもオレンジ文庫のシリーズって、年1冊ペースになってしまうのでしょうか。もしそうなら、千景と透磨がどうなっていくのか気になって仕方ないのにが読みたいのに生殺しもいいところです。
3巻が早く出ることを祈って待ちます。

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