ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン6


『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンⅥ』(宇野朴人著/電撃文庫)★★★★★

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (6) (電撃文庫)
ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (6) (電撃文庫)

イラストレーター交代の第6巻。
前任者のキャラデザを踏襲しているのでそこまで激しく何かが変わったということはないものの(ジャンはあれ?と思いましたけど)、女性キャラの見た目年齢が少し下がったように感じました(シャミーユ殿下が幼女化。というか元から幼女だったっけ?)。
肝心の本編は軍事クーデター勃発による三つ巴の抗争劇。その中で、ついに彼が目覚める話でした。

☆あらすじ☆
軍事クーデターが起こり、カトヴァーナ帝国内でイグセム派とレミオン派が激突する。それはイクタたちにも影響を及ぼし、イグセム家のヤトリは父のもとに戻るべく、騎士団を離脱。またレミオン家のトルウェイは、父と対峙することを決意。そしてイクタは、父バダ・サンクレイの残した独立部隊「旭日連隊」を率いて、内戦を収めようと立ち上がる。激しく揺れる帝国で、それぞれの想いを胸に戦場を走る少年少女たち。彼らの未来に希望はあるのか…?話題沸騰の本格派ファンタジー戦記、待望の6巻が登場!

以下、ネタバレありの感想です。

 

ついに起こってしまった、レミオン大将による軍事クーデター
しかし、大将の計画していた進行とは大きくずれていき、皇帝と宰相トリスナイの失踪によって、事態は泥沼化していきます。
膠着するイグセムとレミオンの間に滑り込んだのは、旭日連隊を率いるイクタ。
彼の計画通りに三つ巴に持ち込むことはできたものの、事態打開の鍵を握るのは行方不明の皇帝の身柄という喜劇じみた争奪戦が始まってしまう・・・・・・というのが今回の話でした。

 

物語開始からここにくるまで、いかに帝国政治が腐敗しているか、いかに帝国軍人が貴族たちに比べて「まとも」であるかが描かれてきた本作。
そんな末期状態の国を救うべく立ち上がったレミオン大将の行動を愚策だと切り捨てることはできない、というように物語を作ってきた筆者の手腕がすごすぎて唸ってしまいます。
ただ、やはり彼のやろうとする軍事政権に未来はないでしょうね。その点をイクタがいつもの彼の調子で切って捨てたシーンはとても爽快でした。爽快だけど、切って捨てられたレミオン大将に切なさを感じてしまいました。
イグセム元帥は言っていることは正しくても思考停止状態だし、そんなイグセムを歯がゆく思い、真剣に国を憂うからこそのレミオン大将の決心でしたからね・・・・・・悪い人じゃないんですよね。イクタの言う通り「軍人」なだけで。

 

国を守ろうとするイグセム、国を救おうとするレミオン、そしてヤトリを救おうとするイクタ
三者三つ巴でうまくバランスを図りながら、事態は皇帝捜索という名の皇帝争奪戦にもつれ込みます。
そんな中で当然武力衝突も起こっていくのですが、これが今までの戦争以上にきつい展開でした。冒頭でヤトリが峠の砦を落としたときに、レミオン派将校の死に対してイグセム派の将校がかつて酒を飲み交わした思い出を語ったときから胸が痛かったのですが、仲間通しの殺し合いほど救いがないものはありませんね。

 

今回の内戦で救いがあるとしたら、トルウェイ覚醒くらいなものでしょうか。
人の死が怖い臆病なトルウェイが、その性質をそのままに勇なき戦場を目指そうと決意する。熱い展開です!
トルウェイが見定めた方向こそ、イクタの望むヤトリを解放する未来につながっていくんでしょうね。それを考えると、やはりイクタは徹頭徹尾ヤトリを救うことしか頭にないんだなぁ、と改めて感じました。なんかこういう形の主人公とヒロインの関係って目新しくてすごく好きです。

 

今回のイクタは三つ巴に持ち込んだ会談以降あまり出番がなかったのですが、その分、マシューとトルウェイが大活躍でした。
最初はイクタに引っ張られていただけの彼らも、繰り返す戦場を通して着実に駆け足で成長していっているのが、読者としても何やら嬉しく感じてしまいます。
ハロは影が薄かったですが。彼女の疑惑に関してはこの内乱が終わった後になるんでしょうね。気になるなぁ。

 

騎士団が必死になって救おうとしている、当のヤトリは今のところやばそうな方向に突き進んでいます。
砦を落としてイグセム派将校を自刃させ、レミオン大将の腹心の部下であるルシーカ中佐を手にかけてしまったヤトリ
その姿は、ヨルンザフを殺さなかったトルウェイと対になっているかのようです。
内面の読めないイグセム元帥と違って、ヤトリは思考を停止しようとしながらも自分にはない未来をぼんやりとながめているように見えて、それがとても痛ましい。
イクタたち騎士団には一刻も早くヤトリを助け出してほしいです(´・ω・`)

 

そしてそんな三つ巴の抗争劇を繰り広げる軍人たちをあざ笑うかのようにラストで登場したトリスナイ
彼の狙いはどこにあるんでしょう?軍人で遊びたかっただけなのか、帝国を滅ぼしたいのか。
あああ早く続きが読みたいです!7巻発売はいつですか!?

 

余談。
天鏡のアルデラミンのコミカライズ1巻が発売されました。

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私はComicWalkerで読んでいたのですが、とても良い仕上がりのコミカライズですよ。単行本も購入しました。原作ファンにもおすすめです。ちなみに私はコミカライズの絵が一番好きです。
気になる方はComicWalker公式サイトで第2話まで無料で読めるので試しにどうぞ。アルデラミンのページへのリンクを貼っておきますね。
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