モーテ1 水葬の少女


『モーテ 水葬の少女』(縹けいか著/MF文庫J)★★★★☆

モーテ ―水葬の少女― (MF文庫J)
モーテ ―水葬の少女― (MF文庫J)

罹患した少年少女が自殺する謎の奇病モーテ。少年少女を集める謎の施設ドケオー。ミステリアスな雰囲気を持つ美しい少女と彼女の傍にいる気味の悪い男。
冒頭はあまりの謎の多さにどういう物語になっていくのか分からず、とても戸惑いました。全ての事実を知って思い返せば、あらすじと口絵に騙された気分です。
ミステリーとかサスペンスなのかな?と思う前半から一転し、視点の切り替わる中盤以降は純愛物語。悲恋か?悲恋なのか?と重苦しい気分にさせつつ、謎を明かしながら物語は進んでいきます。読むのにとても疲れました・・・・・・。
でも読んで良かったです。主人公たちのラストにホッとする、とても綺麗な物語に出会えたことに満足しました。

☆あらすじ☆
遺伝子の罠―数万人に一人が罹り、必ず十代の内に自殺へと追い込む奇病・モーテ。秘密と不穏に満ちた孤児施設・ドケオーに送られた少年・サーシャは、大人への憎しみを抱き、孤独に生活していた。そんな彼の前に、マノンという美しい少女が現れる。マノンとの仲が近づくにつれ、彼女の相談役・フォスターである気味の悪い男・ドゥドゥが、マノンを傷つけているのではないかと疑問を抱く。サーシャはマノンを助けるために、大きな決断をする。しかし、その裏には驚くべき事実が隠されていた。誰もが望まない、約束された自殺へと誘う「モーテ」が、孤児施設と彼らの背景に横たわっていて…。
絶望的に純粋な“絆”の物語―この世界に、奇跡は存在しますか?

以下、ネタバレありの感想です。

 

モーテと呼ばれる謎の奇病によって、十代の少年少女が自殺に追い込まれるという世界。サーシャという名前に変えさせられた少年アランは、連れてこられた孤児施設ドケオーで、ミステリアスな美少女マノンと出会います。マノンにどんどん惹かれていくサーシャは、彼女を傷つけていると思われるドゥドゥに激しい敵意を抱いていきます。

 

前半(というより冒頭)は、サーシャの視点で多くの謎がちりばめられていきます。
ドケオーとはどういう場所なのか?モーテとどんな関係があるのか?
なぜ少年少女は集められ、彼らのフォスターたちは彼らに何を教えているのか?
関わらない方がいいというマノンの正体は何なのか?
マノンを傷つけ、人殺しという噂のあるドゥドゥはどういう人物なのか?

 

わけのわからないまま物語は進み、「ドゥドゥを殺して」 というマノンの言葉のままにサーシャはドゥドゥに刃を向けます。

 

そこから物語は事の起こりの1年前へ。
ドケオーではない場所フィレンツェで、ドゥドゥという男は、インターネット上で知り合ったマノンという少女に出会います。 その出会いから、徐々に時間は物語の冒頭に起こった事件に向けて進んでいきます。

 

サーシャに刺されたドゥドゥは本当はどういう男なのか。彼がフィレンツェで出会った「マノン」はどういう少女なのか。
なぜドゥドゥはドケオーにいたのか。ドケオーで彼が一緒にいた「マノン」は誰なのか。

 

冒頭の謎が解き明かされるにつれて、その構成の妙に舌を巻きました。
ドケオーとモーテの関係は想像以上に醜悪で、それに否応なく巻き込まれたドゥドゥの悲劇には心が痛くなります。そして彼が見守り続けた「マノン」に、彼の目の前で更に大きな悲劇が起こったときには、「ああもうこれ悲恋になる絶対なる」と、この本を手に取ったことを後悔し始めていました。だって、その直後にドゥドゥ自身に何が起こるかは最初に分かっているんですから・・・・・・。
結局、物語の主人公はドゥドゥだったんですね。あらすじと口絵から完全にサーシャが主人公だと思っていた騙された(´д`;)

 

モニター越しにすれ違うドゥドゥとマノンに切なくなっていただけに、彼らの恋愛が美しいラストを迎えてくれたことに心底ホッとしました。悲恋で終わっていたら本を壁に投げていたかもしれない・・・・・・。
そして、そのラストを受けて思い返せば、どこまでも互いを思いやるドゥドゥとマノンの絆を描く、繊細で美しい物語だったんだなと心が温かくなりました。
ドゥドゥの傷もマノンの傷も決して完全に癒やされるものではないけど、ふたりが一緒にいれば乗り越えられるに違いありません。ちょっとご都合主義なところも感じましたが、ハッピーエンドを迎えてくれたので私は大満足です。

 

余談。
BOOK☆WALKERで「モーテ」を購入すると特典で本棚(6冊収納)がもらえたんですが、もしかしてシリーズ化するんでしょうか?
綺麗に終わって続きようがない読み切り作品だと思ったんですが、気になったのでここにメモしておきます(´・ω・`)

 

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