サクラコ・アトミカ


『サクラコ・アトミカ』(犬村小六著/星海社文庫)★★★★★

サクラコ・アトミカ (星海社文庫)
サクラコ・アトミカ (星海社文庫)

とても素晴らしかったです。
世界を滅ぼすほど美しい少女と「バケモノ」の少年の恋を描く、おとぎ話のように綺麗な物語でした。天真爛漫なサクラコと彼女に振り回されるナギの関係はとても甘いです。糖度抜群。
想像力がそのまま力となるSFな世界観の中で、概念すらあやふやな「こころ」を求め合うふたりに胸を打たれます。

☆あらすじ☆
畸形都市、丁都に囚われた美貌の姫君・サクラコの“ありえない美しさ”から創られた「原子の矢」は、七つの都市国家を焼き払う猛威を秘めていた…。その抑止のために各国の軍が丁都に迫る中、サクラコの護衛にして牢番、「無機物から創造された生命特性を持つ短期システム」、通称“バケモノ”と呼ばれる少年・ナギはいつしか彼女に魅せられていくのだが…!?
「とある飛空士」シリーズの犬村小六が放つ、愛と青春のボーイ・ミーツ・ガール!
星海社FICTIONSより2011年に刊行された名作が、ラストシーンを改稿しての文庫化。

以下、ネタバレありの感想です。

 

サクラコの美しさが世界を滅ぼす。

 

そんなフレーズに取り憑かれた世界最悪の魔法使いによって拉致され、丁都に連れ去られた姫君サクラコ。囚われのサクラコを守り監視する牢番が、魔法使いによって産み出された「無敵の個体」ナギ

 

想像を絶する美貌によって、彼女を見た男は性欲か畏怖かのどちらかを抱かずにいられないというサクラコですが、その性格はまさに天真爛漫。ちょっと(かなり?)ワガママでナギを散々に振り回すサクラコがとても可愛かったです。

 

「バケモノ」であるがゆえにサクラコの美貌に惑わされないナギに惹かれるサクラコ。
初めて自分の死を悲しんでくれたことや自分と同じように「人間」ではないサクラコに惹かれるナギ。

 

サクラコとナギがお互いの想いを交わし合ったデートシーンはとても綺麗でたまらなく甘かったです。 観覧車のゴンドラの中で未来に想いをはせる二人に温かい気持ちになりながらも、それが簡単にはいかないだろうことへの不安を煽る印象深い場面でした。

 

そこから続くサクラコとナギの逃避行も甘やかなものだったものの、それはやはり最悪の魔法使いオルガによって唐突に打ち切られてしまいます。
オルガは強烈なキャラクターでした。破滅志向型のオカマとか怖すぎる。

 

そんなオルガによってサクラコは連れ去られ、ナギは原型をとどめないほどにボロボロにされ・・・・・・
と、そんな場面まで至ってやっとこの作品の仕掛けに気付く間抜けな私がいました。冒頭からユキノが戦っているのが何なのか・・・・・・うーむ、そういうことだったのか。

 

オルガのあんまりなトンデモ加減にもうこれどうやっても勝てないんじゃないかと思ってしまいましたが、そんな絶体絶命のナギを救ったのは「サクラコ・アトミカ」となったサクラコ
想像力が現実に力となるという世界観の中で、まさに「信じればできる」を貫いた作品だったと思います。ご都合主義的に感じなくもない展開でしたが、私は好きです。

 

オルガに打ち勝ったものの、世界を滅ぼす装置は止められず、サクラコとナギは光の中に消えてしまいます。ユキノの眼前を飛び去っていった二羽の鳥は想像力で姿を変えた二人だったのか、果たして・・・・・・。
どちらにせよ、余韻の残し方が絶妙なラストシーンだったと思います。

 

星海社FICTION版とはラストが違うようですが、むこうはハッピーエンドだったのかな・・・・・・

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