貴族デザイナーの華麗な事件簿 ロンドンの魔女


『貴族デザイナーの華麗な事件簿 ロンドンの魔女』(柏枝真郷著/富士見L文庫)★★★☆☆

貴族デザイナーの華麗な事件簿 ロンドンの魔女 (富士見L文庫)
貴族デザイナーの華麗な事件簿 ロンドンの魔女 (富士見L文庫)

庶民の仕立屋さんと貴族のデザイナーのコンビが、ロンドンで起こる連続放火事件の謎を追うというミステリー。
ミステリーとしてはライトミステリではなかったのですが、本格ミステリというほどでもないちょっと中途半端な印象を受けました。しかし、19世紀末ロンドンの服飾事情がところどころに出てきて、そちらがとても面白かったです。主役コンビの活躍もみたいですし、続きが出たら買うと思います。

☆あらすじ☆
19世紀末のロンドン。伝統と革新が渦巻くこの街の一角で、仕立て屋を営むジェレミーの店には、風変わりな人物が入り浸っている。彼の名はエドガー・ノースブルック。貴族でありながら、先見の明と奇抜なアイデアを併せ持つ、自称デザイナーだ。2人はある日、客の実業家から、最近雇ったメイドが「自分は17世紀のセイラムで魔女狩りに遭った」と言っているという話を聞く。折しもロンドンでは人体が突然発火するという奇妙な事件が続発していた。好奇心旺盛なエドガーは、調査に乗り出すが…!?

以下、ネタバレを含む感想です。

 

主役は仕立屋を営む庶民のジェレミーと、彼の店でデザイナーとして働く貴族階級のエドガーのふたりです。真面目なジェレミーと洒落者のエドガーはなかなかバランスのいいコンビでした。

 

物語は、ロンドンで起こる謎の連続発火事件を中心に、ジェレミーとエドガーそれぞれの過去、ふたりの出会い、エドガーの友人の伯爵令嬢の駆け落ち騒動、仕立屋の顧客フィッシャーのもとにいるメイドの謎、などなど色々な要素や時間軸を飛び交いしながら進んでいきます。

 

正直、ミステリーとして読むと拍子抜けというか期待外れな感じは否めません。あくまでライトノベル的なミステリですね。犯人の正体やメイドの謎などは少し唐突な感じがありましたし。
ジェレミーとエドガーの過去を本筋の要所のつなぎ代わりに入れてくる構成も面白いとは思ったのですが、ストーリーが多方面に拡散してしまっているようにもみえました。絞ってもよかったんじゃないかな。

 

ただ、19世紀末のロンドンの雰囲気が本の中からにじみ出るような、当時の社会事情や服飾事情の細かな描写は一見の価値があると思います。

 

物語のキーワードであるレーヨンの話もそうだし、共同電話や、アメリカ風パブ、自転車のための女性用スーツの話など、知らない蘊蓄がこれでもかと自然に盛り込まれていてとても面白かったです。

 

19世紀末ロンドンっていう時代設定そのものがもういいですよね。近代と現代の移り変わりの混乱期というのはそれだけで郷愁にも似た切なさと、新しい何かが始まるというワクワクする感じを抱かせてくれるものです。

 

服飾関係に重点を置いたミステリーというのも珍しいですし、主人公コンビも魅力的だったので、続編を期待したい作品でした。

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