悪魔交渉人1 ファウスト機関


『悪魔交渉人 1.ファウスト機関』(栗原ちひろ著/富士見L文庫)★★★☆☆

悪魔交渉人 1.ファウスト機関 (富士見L文庫)
悪魔交渉人 1.ファウスト機関 (富士見L文庫)

6月創刊の富士見L文庫。「オトナになった文学少女に捧ぐ」ということで(あなたが好きなのはどのタイプ?「富士見L文庫」創刊!) 、女性向けメディアワークス文庫的レーベルを目指している様子。
その第1弾ラインナップの先頭にあったのが、この「悪魔交渉人」です。他のラインナップはMW文庫ぽいのにこれだけなんか雰囲気違うくない?と逆に気になった作品です。
内容は、悪魔対策機関に所属する主人公が、彼に執着する悪魔と共に悪魔絡みの怪事件の調査をする、というもの。謎とそれに対する解答はあるのですが、ミステリーではないですね。ミステリー風味のゴシックファンタジーといったところ。
主人公と悪魔の関係が、ドライなのかウェットなのかよくわからない何とも言えない関係で、それが逆に魅力的ではありました。
主人公の過去がややこしく絡んでくるので、前半はかなり読み進めづらかったのですが、終盤は割と面白かったです。「1」とナンバリングされているので続き物前提なのでしょうし、序章としてはこんなものかな、といった感じの話だったと思います。

☆あらすじ☆
横浜の外れに佇む寂れた建物、WMUA・NITTOH美術館。
ここに勤める怠惰な学芸員・鷹栖晶には、もうひとつの顔があった。それは、存在証明不可能生命体―通称・悪魔を視認できる唯一の人間であること。そのため晶は、エジプトで事故死した親友・音井遊江の肉体に憑依した謎の悪魔と不本意ながらコンビを組み、他の悪魔と交渉して彼らにまつわる事件を解決する任務を負っていた。ある日、美術館に持ち込まれた謎の壺の調査を続けるうち、晶と遊江は、『F機関』を巡る陰謀に巻き込まれる―。

以下、ネタバレありの感想です。

 

主人公は、悪魔関係事件の事前防止と被害の軽減を目指すWMUAのNITTOH美術館所属の鷹栖晶
鷹栖は5年前のエジプトで起こった事件をきっかけに、悪魔とそれに関わるものが見えるという能力があり、それを使って悪魔絡みの事件の調査をする仕事をしています。その仕事上の相棒となるのは、死んだ親友の身体に取り憑いている悪魔音井遊江

 

コンビものなのですが、鷹栖は親友の身体を使い自分を破滅へと誘惑する悪魔に心を許さないようにしているので、ふたりの関係は割とギスギスしています。もっとも、音井は鷹栖に無邪気に(?)懐いている子供のような態度なので、なんやかんやで相殺されてよくわからない雰囲気を形成しているのですが。

 

今回の話は、壺に入れられた「眠る男」の正体とそれに関わる悪魔について鷹栖と音井が調査する、というものでした。

 

調査の過程で戦時中の悪魔研究機関の存在やら、現代霊能界の重鎮五得の野望やら、いろんな事実が絡み合って思ったよりは複雑な話となっていきました。ちょっとキャラと情報量が予想以上だったので、前半はそれについていくのが億劫でページを繰る手が遅くなったのですが、後半は楽しく読めました。五得さん、イイキャラしてると思ったのに、なんかラストは小物くさくなって残念でした。

 

まだまだ1巻なのでどう転がっていく話かはわかりません。というか、この1巻で完結と言われても納得しそうな終わり方でしたし。
続くなら、森井と鷹栖の関係ももうちょっと突っ込んでほしいですね。森井が登場するシーンでの、悲哀の雰囲気はとても良かったですし、森井と音井のそれぞれの心情の切なさは素敵でした。音井のことが好きだった森井は、今の自分と鷹栖の関係をほんとのところどう思っているんでしょうね。

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栗原 ちひろ,THORES柴本KADOKAWA / 富士見書房 2014-06-20
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