斯くして歌姫はかたる1


『斯くして歌姫はかたる』(朝前みちる著/ビーズログ文庫)★★★☆☆

斯くして歌姫はかたる (ビーズログ文庫)
斯くして歌姫はかたる (ビーズログ文庫)

なかなか良かったです。
2巻表紙のイイ笑顔の男性キャラに心を奪われて気になったので、読みそびれていた1巻を読んでみました。
魔物に歌声を奪われ音痴になってしまった歌姫が主人公。思いっきり高飛車キャラですが、彼女の誇り高さと反骨精神、努力を惜しまない姿勢は嫌いじゃないです。むしろ好印象でした。
ストーリーそのものも悪くなかったです。少しラストの急展開な感じが微妙でしたが、新人賞受賞作品だし、荒削りな感じは許容範囲です。2巻も楽しみ。

☆あらすじ☆
歌で自然を操り魔物から人々を護る“楽師”。中でもエルネスティーヌは誉れ高き“歌姫”として君臨していた。しかしある日、魔物に歌声を奪われてしまった上に反逆の疑いをかけられた彼女は、事件解決まで聖フィデール楽院に身を隠すことに!なのに、超堅物優等生のオリヴィエに「音痴は今すぐ退楽しろ」と脅されて―!?
不協和音が奇跡を起こす?第15回えんため大賞特別賞受賞作登場!

以下、ネタバレありの感想です。

 

本作は、稀代の歌姫エルネスティーヌが突如現れた魔物を王宮に引き入れた疑惑を持たれてしまい、問題が解決されるまで楽院に身をひそめることになるが、魔物によって音痴にされてしまったことで落ちこぼれ扱いされてしまう、という物語です。

 

実力を隠して落ちこぼれ扱いを甘んじるというのは少年向けラノベの流行ですが、本作は実力を奪われたために受けた落ちこぼれの汚名を努力で返上しようとする方向性なのが私には目新しく思えました。

 

主人公エルネスティーヌ改めイヴリーンは、魔物に音階を奪われたことにより稀代の歌姫にもかかわらず、「美意識の死神」と呼ばれるほどの音痴になってしまいます。しかし、彼女はそのことに対してほとんど落ち込みません。失ったものは新たに得ればいいとばかりに、今まで感覚的にとらえていた音階を意識的に身につけるよう努力します。

 

イヴリーンというキャラは自己陶酔癖と高飛車な姿勢が目立ってアクの強さが人を選びそうな主人公ではあります。しかし、自己陶酔癖は彼女の孤独な過去からくる愛情への飢えの裏返し、高飛車な態度は努力に裏付けられた美貌と才能への自負の裏返し。ある意味とても分かりやすく、そして丁寧に掘り下げられたキャラクターだと言えるでしょう。途中まではイヴリーンのキャラクターになじめなかったのですが、最後まで彼女に付き合うと、イヴリーンの誇り高さと努力を惜しまない姿勢に感動さえしました。

 

イヴリーンのキャラクターとストーリーそのものは良かった本作。
しかし、ヒーローであるリュクシオルとラストの展開が個人的にマイナスポイントでした。

 

まずはヒーロー。
掘り下げられしっかりと固められたキャラクターだったイヴリーンに比べ、リュクシオルはいまいちキャラがしっかり固まっていないふわふわとした感じが気になりました。イヴリーンに対していちいち突っかかったりケンカ早いところとかは、小猿がキャンキャン騒いでいるようなイメージを覚えました。少女小説のヒロインにしては珍しくちび小柄だし。
ただ、終盤に向けて身長が伸びるというのは面白い。ビジュアル面から成長を表現するってこれまた珍しいですね。
それに、単独ではイマイチなリュクシオルですが、イヴリーンとセットでケンカップをやっているところはすごく萌えました。ラストのキスの応酬はとても良かったです。

 

そして終盤の展開。
魔物再登場あたりの流れは急ぎ足すぎて、ひばり消失からイヴリーンが立ち直るまでの流れが急展開すぎてついていけませんでした。ここまで良かっただけに、肝心の盛り上がりが粗い仕上がりだったのはとても残念でした。惜しい、ほんとに惜しい。

 

とはいえ、全体的みれば買って満足できるレベルの作品だったと思います。2巻も楽しみです。
2巻では、この彼が出るんだろうし。
2014-06-08-01-55-10

誰だよ、このイイ笑顔で踏まれてる人!!!!ww

 

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