英国マザーグース物語6 花咲けるきみと永久の歌


『英国マザーグース物語 花咲けるきみと永久の歌』(久賀理世著/コバルト文庫)★★★★★

英国マザーグース物語 花咲けるきみと永久の歌 (コバルト文庫)
英国マザーグース物語 花咲けるきみと永久の歌 (コバルト文庫)

英国ライトミステリ最終巻。
本当にとても良いシリーズでした。最後の事件らしく派手で緊張感あふれるお話でした。初期の雰囲気をうまく取り入れているところも素敵。
私は【電子特別版】を読んだのですが、紙の本でしか読んでいないという方にはぜひ電子版をおすすめします。
本編のエピローグとなる中編が2本収録されていて(雑誌で掲載されたもので文庫未収録)、糖度の高さがやばいです。

☆あらすじ☆
【電子特別版】セシルが自分自身に向けて銃を撃った、そのとき――救出に駆けつけたジュリアンの従者の機転により、セシルの身は守られ、女王の暗殺も未遂に終わる。だが、クリストファーは「ロンドンで最後のゲームをする」と宣言し、闇に消えてしまう。やがて、ロンドンの街で、ある“特徴”が刻まれた遺体が発見されて…!? ふたたびパートナーとなったセシルとジュリアンの想いが交錯する、衝撃と涙の完結巻!! 電子版限定!! 文庫未収録SS「寄り道は危険の香り」「My sweet tea time」「幸せへの脅迫状」&セシルとジュリアン達のその後を描いた長編「Coming back to you」「Beautiful May flowers」を同時収録!!

以下、ネタバレ込みの感想です。

 

花咲けるきみと永久の歌

本編最終回。
セシル助かってほんとに良かったです。
本当の姿で改めてパートナーとなったジュリアンとセシルは、クリストファーの仕掛けたラストゲームに挑みます。

クリストファーによるマザーグースを見立てた連続殺人事件。
セシルの命がかかっているせいか、ジュリアンの推理が鈍っていましたね。それでも、仲違いする前のように新聞記者として事件を追うふたりの姿がとても懐かしく感じて良かったです。深刻な事件の最中にいちゃいちゃしやがってこのバカップルが!大変な事件なんだからもっと緊張感をだね・・・・・・と、にやにやしました。はい。

クリストファーの破滅的な性格はずっと好きになれなかったけど、最後にセシルを助けようとした彼の行動の意味を考えると複雑になります。

最後の最後に登場したヘンリーパパも良い味をだしていました。やっと出てきたと思ったらジェフリーのクローン(逆か?)で笑った。

このシリーズは時折史実を織り交ぜて話が展開していったのですが、この物語の後、ドイツ皇帝になったヴィルヘルム2世の治世下で英独関係は急速に冷え込んでいきます。そして、悪化していく欧州情勢の果てに第一次世界大戦が引き起こされることを考えると、クリストファーのいう「冬の時代」という言葉は重いですね。
いずれ春の花は咲く、というセシルの言葉に対して「ぼくはもう、五月の花は見られない」と返したクリストファーの絶望の深さに悲しくなります。
まぁ、だからといって彼のやったことは悪事にほかならないわけですが。

多くの命が失われた事件でしたが、セシルとジュリアンが正式に婚約者となれるラストとなって本当に良かったです。この後の彼らは大変な時代を生きていくことになるのですが、少女小説はやっぱりハッピーエンドじゃないとね!

 

〈以下は、電子特別版のみ収録〉

寄り道は危険の帰り

4巻のガイ・フォークス・ナイト中のジュリアンとセシルを描いたSSです。ジュリアンはこっそりスケベですね。

 

My sweet tea time

愛は差別的、というSS。ジュリアンの優しさはセシル限定です。

 

幸せへの脅迫状

エリザベスの結婚を控えた友人相手に届いた脅迫状の送り主の正体は・・・!?というSS。
セシルのうたうマザーグースが超怖い。

 

Coming back to you

本編完結後の後日談その1。長めの中編です。
セシルはパパ’sに愛されていますね。少女小説のヒロインは愛されるものですが、身内にばかりやたらモテている気がする(笑)
そんなヘンリーパパは子どもたちににくい演出をしてきました。
まさかここで兄弟たちの恋もひろってくるとは。
ダニエルとエリザベスは唐突な感じが否めませんでしたが、「息子よ。我が道をゆくのだ」というセリフに感銘を受けました。ヘンリーが言うと説得力があります。
アメリアとジェフリーは、いいのか?(笑)いくら子爵家でも次男なのにアメリアの親は許すのだろうか・・・。でもこのカップルはなかなか良かったです。変な化学反応を起こしている感じが。

ジュリアンとセシルは・・・。ジュリアンは自分で自分の理性の限界に挑戦しているような気がしてならない。

 

Beautiful May Flowers

クリストファーが見ることのできなかった「五月の花」。
ジュリアンとセシルは無事に見ることができそうですね。

セシルの社交界デビューを描いた後日談その2。
アメリアが恋は盲目状態になっています。ウケる。
黒ツグミ氏再登場で個人的に嬉しかった中編でした。イザベラが出てくるとは思わなかったですが。

 

とても楽しめた最終巻でした。
シリーズものとしては全6巻と短めですが、全体の構造を考えるととても計算された分量だったのではないでしょうか。最後まで飽きずに読むことができ、お気に入りのシリーズとなりました。

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