灰と王国1 北辺の闇


『灰と王国1 北辺の闇』(風羽洸海著/エンターブレイン)★★★★☆

灰と王国1 北辺の闇
灰と王国1 北辺の闇

「小説家になろう」の人気作の書籍化。WEB版は未読ですが、すでに完結している作品だとのこと。
かなり王道なファンタジーという印象。荒廃した世界の片隅で、ただ家族を守るために少年が旅立つお話。1巻は序章ではあるのですが、ここから先面白くなるんだぞ!という吸引力のようなものを感じました。薄暗い世界観もとても好み。ダークファンタジーになるのだろうか。
早く続きが読みたいところですが、4月28日に2巻が発売されるそうです。よしよし。売り上げに左右されずに完結まで刊行されることを祈るばかりです。何冊くらいになるのかな?

☆あらすじ☆
これを読まずに≪ファンタジー≫を語るのか。 ――伝説のオンライン小説、筆を加え待望の書籍化!
帝国の衰退期、民衆の生活は≪闇の獣≫によって脅かされていた。
「特命だ。おまえにはこれを届けてもらおう」
平凡な青年フィンが託されたのは、遥か彼方の軍団に救援を求める文書。絶望の荒野、暗闇から忍び寄る脅威に削られる心。そんな夜、フィンは不思議な少女と出会う――。

以下、ネタバレありの感想です。

 

最近、オンノベの書籍化を読むことが多くなりました。そのたびに、「こんな作品がウェブ上では無料で読めているのか」という驚愕を覚えます。
常に買ってきた本を積みまくっているため、なかなかWEB小説に目を向ける機会がなかったですし、たまに読もうと思っていてもあまりの作品数の膨大さに尻込みしていたんですよね。うーん。もったいないことをしていたのかな?
なんか、ケータイ小説が苦手すぎて「小説家になろう」とかのオンラインノベルも同じくくりで考えてきちゃってたところがあるんですよね。認識を改めました。

 

まぁいいです。書籍版にはイラストつくし(「灰と王国」の挿絵は世界観にぴったりと合った幻想的なものでしたよ)、良い作品を作ってくれる作家さんたちにはちゃんとお布施をせねば(負け惜しみ)

 

それはともかく、「灰と王国」の第1巻。
物語の序章らしく、主人公フィンが旅立つまでのお話になっています。

 

ただひたすらに家族を守ることを考え続けるフィン。
最初は闇の獣から身を守るためにナナイスへ、そして家族の安寧のために特命を受けてウィネアヘ。
フィンは家族を守ることを第一に考えて行動し、場所を転々とします。
そうして、ウィネアへの旅路の途中で謎の少女レーナと出会ったことで彼の運命は大きく動いていくことになります。

 

フィンという主人公は、びっくりするくらい真面目。そして頑固で融通がきかない、のかな?
最近は斜に構えてたり軽口叩きまくる主人公が多かったので、正反対なフィンは好印象でした。レーナとゆっくりと親交を深めていく姿も良いし、何より家族を大事に守ろうとする姿が格好良かったです。

 

フィンの家族たちも好意しか持ちようがない人たちばかりでした。オアンドゥスファウナは優しい夫婦だし(ファウナの「あなたの方がずっといい男ですよ」っていうセリフがぐっときました)、おませなネリスは可愛いくてしっかりした義妹だし。途中で家族同然になったマックも厳しい現実を見据えて努力する少年だし。なんというできた家族。

 

フィンと家族たちの優しく温かい愛は読んでいてとてもほっこりしました。

 

その一方で、ある意味執拗に人間の暗い側面も描き出されている作品でもありました。
ナナイスでもウィネアでも、荒廃した世界で追い詰められむき出しなる人間の暗い感情にフィンは向かい合わされていきます。
政争で疲弊するディアティウス帝国、闇の獣の脅威によって疲弊する北辺の人々。そして箱庭の中で権力を振るう者と生きるためにそれに従わざるをえない者。
暗い絶望感が染み渡るような世界観にぞくぞくしました。

 

フィンの周囲の人間だけでも善意と悪意のコントラストの激しさに目眩を感じるほどでしたが、それによって作中世界の深みが増しているとも言えます。憎悪が渦巻くだけの世界なら読んでいても疲れるだけなのですが、そこにフィンの家族たちの温かい感情が加わることで何とも言えない調和を生み出しているんですよね。

 

命を助けてもらった結果、意図せず竜であるレーナと絆を結び、「竜候」同然の身の上となってしまったフィンが、この暗い世界の中でどのような運命をたどっていくのか。

 

気になる伏線も大量においていかれましたからね。続きがとても気になります。

 

とりあえずは、
レーナが気にしている「絆の誓い」がフィンに求める代償は何なのか。
帝国はどういう状況にあるのか。
フィンの素性にはどんな秘密があるのか(オアンドゥスとヴァルトは何を知っているのか)。
といったところが、特に気になっています。

 

うーん、面白くなりそう。楽しみです。

 

・・・・・・内容的にビーズログ文庫の系列として出したことは戦略としてどうかと思うのですが。後日談にあたる外伝をビーズログから出してるからなんでしょうけど。少女小説じゃないよなぁ。
その外伝は、本編の子供たち世代の話ということですが、「灰と王国」面白かったし読んでみようか検討中です。まさか本編のネタバレには、ならないよね?

 

灰と王国1 北辺の闇灰と王国1 北辺の闇
風羽洸海,皆川史生KADOKAWA/エンターブレイン
売り上げランキング : 5282Amazonで詳しく見る

 

スポンサーリンク
 
0

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。