she&sea1 海賊王の退屈


『she&sea  海賊王の退屈』(糸森環著/角川単行本)★★★★☆

she&sea 海賊王の退屈 (単行本)

she&sea 海賊王の退屈 (単行本)

「花神遊戯伝」や「恋と悪魔と黙示録」の糸森環さんが自身のホームページに掲載していたオンノベの書籍化です。オンノベを電子書籍で買うってどうなんだ・・・と自分で思わなくもなかったのですが、そこはほら、イラストがカズアキさんですし、縦書きのほうが読みやすいですし。
内容は日本の中学生笹良が突然異世界に放り出され海賊たちに拾われてしまう、というもの。
「she & sea」のweb版は未読です。なのでweb版との違いは分かりませんが、この書籍版は面白かったです。海賊達、とくに王様のガルシアが陽気に残酷なのがたまらなく魅力的でした。ただ、内容的には思いっきり序章ですね。書籍版の続刊があるのか不明ですが、ここで終わらないでほしいな。

☆あらすじ☆
水恐怖症女子・笹良は、スクリーンから溢れ出た波に飲まれ、気づくと幽霊船の上にいた。海賊が海を支配する世界に飛ばされた笹良は、絶対的な海賊王ガルシアの船に拾われ、船の守り神「冥華」と祭り上げられるが!?

以下、ネタバレありの感想です。

 

主人公笹良は14歳の中学生。
夏休みに訪れた博物館で海賊モノの展示物を見ていると突然の波にさらわれ、気付けば異世界にいた、という風に物語は始まります。

 

最初に笹良がいたのは謎の幽霊船。
そこで彼女ははぐれ死神レイロンと出会います。このレイロンはなんだか花神遊戯伝のヤマちゃんぽかったな。彼の出番はここだけだったのが残念。

 

レイロンの助けを借りて、次に笹良が出会ったのは海賊王ガルシア率いる海賊達。
なぜか初対面から異常にガルシアに気に入られてしまった笹良は、「冥華」と呼ばれ彼の海賊船で保護されることになります。

 

異世界トリップもののお約束として、言葉の壁があるのですが、笹良のほうは彼らの言葉を理解できるが話すことはできない、彼らは笹良の言葉がわからない、という状態です。コミュニケーションは頑張ればどうにかなる、程度ですね。副音声みたいなものかな。なるほど。

 

海賊船で過ごし海賊達に世話を焼かれながらも、笹良は彼らの残酷な面を目の当たりにしていきます。
ガルシアが一番怖い。笹良を笑いながら甘やかし、一方で同じように笑いながら容赦なく仲間に制裁を加えていくガルシア。背中の皮剥がすとか、もう、ぞぞーっと怖気が・・・っ。
ガルシアは笹良を大事にしてるのかどうでもいいのかよく分からないところもたまらなく不気味です。それがなんだかクセになります。

 

海賊のリンチ怖ぇーっ!とドキドキしつつ、笹良の立場もガルシアの気分次第という危ういものだったために、次の瞬間何が起こるかわからないという緊張感がありました。
でも、負けん気の強いネコみたいな笹良と、彼女を怖がらせながらも振り回されてしまう海賊達を見ているのは楽しかったです。お兄ちゃん気質のヴィーと笹良がじゃれ合っているシーンが一番好きでした。兄ちゃん良いなぁ。
他の海賊達も怖いところはあるけど魅力的でした。続刊あるならぜひ彼らのキャラを掘り下げたエピソードが見てみたい。

 

ヒロインの笹良もけっこう好きでした。地の文が笹良の一人称なのかどうなのかはよく分からないのですが、いかにも14歳という未熟な感じがよく出てます。続刊が出るなら彼女の成長も楽しみです。

 

のめり込んですぐに読みきってしまうくらい面白かったのですが、内容としてはほんとに序章もいいところ。
笹良がなぜ異世界にきてしまったのか、「冥華」とは何を意味するのか、ガルシアの「水の呪い」とは何なのか、なぜガルシアは笹良をかわいがるのか、この世界はどういう状況にあるのか、など謎は山盛り積み上げられたままです。

 

気になってweb版をチラ見してみたのですが、なんだか書籍版とは結構内容が違う気がして、このまま読むべきか迷ってます。どうせなら新しいバージョンで書かれた書籍版で続きが読みたいですし。
ちゃんと読んでいないので、もしかしたら細部が変わってるだけで内容は全く変わってないのかもしれませんけど。 1年待って続刊がなければweb版を読んでみようかな。

 

ちなみに、冒頭を少し読んだ感じだとweb版よりも書籍版のほうが読みやすくなっていると思いました。

リンクフリーとあったので、オンノベ版のリンクを貼っておきますね。
she & sea(糸森環ホームページ)

 

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