英国マザーグース物語1 婚約は事件の幕開け!


『英国マザーグース物語 婚約は事件の幕開け!』(久賀理世著/コバルト文庫)★★★★☆

英国マザーグース物語―婚約は事件の幕開け! (コバルト文庫)
英国マザーグース物語―婚約は事件の幕開け! (コバルト文庫)

かなり好きなタイプの小説でした。
ライトミステリーの短編2本と主人公セシルの父の死の真相に迫る中編1本。
子爵令嬢なのにある目的をもって男装し、新聞記者として事件を追うセシル。
セシルは知らないけど実は彼女の婚約者であり、仕事のパートナーにもなったジュリアン。
この2人の柔らかな関係性がとても良かったです。
ミステリーの出来自体はそこそこですが、それぞれの事件にはマザーグースが絡められていて、そこから感じられる近代英国の雰囲気に心惹かれるものがありました。

☆あらすじ☆
19世紀、大英帝国の首都―ロンドン。偉大な探検家である当主が亡くなり、長男が爵位を継ぐことになったアッシュフォード子爵家。長女セシルはといえば、子爵家の未来のため、顔も知らない相手と結婚することが決まっている。だが、好奇心旺盛な彼女は結婚までの一年間、新聞記者になるという前代未聞の行動に出た!「子爵令嬢」という正体を隠し、少年姿で働くセシルの前に現れたのは!?―。

では、ネタバレ感想です。

 

主人公セシル・アッシュフォードは、子爵令嬢でありながら身分と性別を偽って新聞記者として働く16歳の少女です。

セシルの婚約者(ただし彼女は誰であるか知らない)のジュリアン・ブラッドウッドは、セシルの兄ダニエルから彼女の事情を聞き、興味本位で訪れた新聞社で絵の才能を買われ、絵師としてセシルのパートナーとなってしまいます。

こういうカップリング、結構好きです(笑)

こうして私生活のパートナーとなる前に仕事上のパートナーとなった2人がマザーグースに彩られた事件を解決するために奔走する、というストーリーとなっています。

 

第1話 お嬢さまは血痕がお好き?

しょっぱなから物騒なタイトルです。セシルとジュリアンの最初の事件簿。
病院そばの鉄柵についた謎の血痕(?)の真相を探る、というお話でした。

セシルは結構冷静に物事を考えることができる子なのに、ゴシップ事件に対する発想がオカルトじみているのが少女らしくて可愛いかったです。そんなセシルにどう反応して良いか分からず頬をぴくぴくさせるジュリアンに笑えました。

なんかこういう組み合わせが好きなんですよね。
ジュリアンはのほほんとしつつも優しく答えを導き示してくれる好青年なところが素敵。まぁ、腹黒そうだけど。

それはさておき、決まった時間に決まった角度からみると、鉄柵に絵が浮かび上がるって素敵ですね。
「ばらはあかく・・・」のマザーグースも雰囲気がとても良かったです。

 

第2話 おつきあいはお友だちから?

この話自体は、突然婚約者と会うことを拒否し始めた令嬢の謎を追うのがメインだったのですが、正直それはすぐに先が読めてしまったので割愛。

むしろ、この話からセシルの抱える事情がクローズアップされてきたことのほうが気になりました。

セシルが男装してまで新聞社で働き始めた動機となった父の死
兄にも相談せずに証拠をつかもうとしていた理由はわかりましたが、無謀なんだか冷静なんだか。

この話、もう少し長引くかと思ったのですが、次の話で一区切りついたのは意外でした。

それはともかく初登場のセシルの親友エリザベスがなかなか良いキャラしてました。
これはあれですね。類は友を呼ぶ、という・・・・・・。

そして恒例になりそうなダニエル兄ちゃんとジュリアンの反省会が面白い。
自分で選んだ婚約者に対して複雑なジェラシーを抱くお兄ちゃんの葛藤がおいしいです。

 

第3話 輝く絆は永遠に

探検家である父親の死の真相に迫る中編。
正直、父親の死の真相をシリーズ通してひっぱるのかと思ってたらそんなことはなくてち拍子抜けしました。敵対組織の存在が匂わされてきましたけど。

父親の死に立ち会った探検隊メンバーがマザーグースの唄に見立てられたいたずらを受けていて、そこには死んだはずのセシルの父ヘンリーの影が・・・・・・ というお話。

ここにきて初登場の次兄ジェフリーと末弟サミュエル
ジェフリーのキャラの濃さに今後の活躍を期待せざるを得ない・・・!
サミュエル愛らしすぎてどうしようという感じでした。なんとも個性豊かな四兄弟ですね。

父親の死の真相に決着をつけつつのパパ生存には驚きました。
まぁよく考えたら遺体なし=生存フラグなわけなのですが。

それにしたってラストのパパの手紙が場違いに陽気で笑うw
直前までセシルがやっと父親の死を受け入れ始めて涙し、それをジュリアンが優しく慰めるという良いムードだっただけに! パパの登場が待ち遠しいな!

ヘンリーを死んだことにして利用しようとしていた組織の存在も浮かび上がってきました。
これがこのシリーズの敵ということになるのかな。今後の展開に期待です。

 

 

そういえば、セシルは男装しているはずなのに口調を全然変えていないのはちょっと気になりました。
まぁ、社長のレスターや相方のジュリアンがすでに女であることを知っているので「バレるの?バレないの!?」という男装ものにお約束のドキドキ展開は期待できない以上どうでもいいことかもしれない。

もはや他の社員も知ってて黙ってるんじゃないか。
じゃないと、男装セシルに対するジュリアンの距離感が端から見るとホ・・・・・・(ry

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