シュガーアップル・フェアリーテイル14 銀砂糖師と銀の守護者


『シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と銀の守護者』(三川みり著・角川ビーンズ文庫)★★★★☆

シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と銀の守護者 (角川ビーンズ文庫)
シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と銀の守護者 (角川ビーンズ文庫)

今回も面白かったです!いよいよクライマックスに向けて物語が加速していますね。シリーズ第14巻。
シリーズ序盤からの伏線もいくつか回収されました。銀砂糖妖精筆頭とアンの対決、シャルの羞恥心の目覚め(笑)、ヒューの渋かっこよさが見所です!!

☆あらすじ☆
「約束の証をやる。俺が作れるのはこれだけだ」ハイランド国王は、妖精王シャルの申し出を受け「人間と妖精に優劣はない」と誓約することを決める。それを成立させる条件は、シャルが「最初の銀砂糖」を持ち帰ることだった!!アン達は「最初の砂糖林檎の木」に向かう。そこで「最初の銀砂糖」を手に入れるため、アンは持てる技術の全てを賭け、作品を作るが―!?過去と邂逅し、人間と妖精が自らの運命を賭けて戦う!!

感想です。次巻の見返し用も兼ねているのでやたら長いです。

 

クライマックス間近ということで細かめに感想書いていきます。

 

妖精と人間の共存を目指し、妖精王シャルと人間付の間でついに誓約の石版が作られます。
しかし、それが効力を発揮する条件は、砂糖菓子存続に必須の「最初の銀砂糖」の確保と、残り2人の妖精王の意思統一。

 

この条件を果たすため、アンとシャルは再び「最初の砂糖林檎の木」を目指します。
狡猾な宰相に場所を悟られないよう、「駆け落ち」のように(シャル談)旅立つふたり。
本当に銀砂糖が手に入るのか、本当に人間と妖精は平等に共存できるのか、何の確約もない不安な状況の中、シャルはアンに草で編んだ指輪を贈り、自分たちの想いへの誓いをたてます。
今回から収録されることになった口絵のシーン。イラストも含めとても素敵でした。シャルはロマンチストですね。それにしても羽を触るシーンになると相変わらず色気が漂ってきます(笑)アンが耳年増だったらどうするつもりだったんでしょうか、状況考えてほしいですね!(嘘)

 

誓いの夜が明け、アンとシャルは「最初の砂糖林檎の木」が存在する世界の入り口へ向かいます。ラファルが配置していた妖精たちの手をかいくぐり、ついに銀砂糖妖精筆頭との対面を果たすアンとシャル。

 

ラファルとエリルと一悶着あったものの、拗ねたラファルをエリルが追って外に出たことで、アンたちは銀砂糖妖精筆頭と交渉を始めます。

 

しかし、「最初の銀砂糖」を求めるアンたちに、筆頭は「砂糖菓子が消えるとして、それがどうした?」と言い放ちます。
アンだけじゃなく読者にも衝撃を与える一言。いや、ちょっと思わなくもなかったけどね!アンタが言うか!
ここまでの話の流れだけじゃなく、シリーズの根幹そのものを揺るがす一言。しかし、砂糖林檎の木そのものでもある妖精の意向を尊重し、筆頭自身にもう一度砂糖林檎の存在価値を見直してもらうために、アンは筆頭に勝負を申し出ます。

 

全て足りている、という筆頭の考えが誤りであることを砂糖菓子で証明できたら砂糖林檎を渡して欲しい、というアンの挑戦をニヤニヤと受け取る筆頭。
そして筆頭はアンの口車に乗せられ、なぜかアンの指導をし始めます。すごいなアン。どさくさに紛れてレベルアップしてしまいました。したたかな主人公です。さすが根っからの職人。こういうところが大好きです。

 

ブツブツ文句を言いつつも無気力状態から脱し始めた筆頭の様子を見て、アンは彼の寂しさを感じ取ります。
そうして、アンが作り上げた砂糖菓子のモチーフは「靴」。
裸足でも怪我をしない安全で退屈な世界から、危険はあるが刺激的な外へ一緒に出ようと誘いかけます。
しかし、筆頭はこれを拒絶。アンを閉じ込めて籠もろうとし、守ろうとしたシャルを外の世界にはじき飛ばしてしまいます。
シャルが目の前から消え落ち込むアンの横で、筆頭はアンの道具に刻まれた模様を見つけ、驚愕のあまり過去の記憶が溢れ出ます。
そこで、アンが知ったのは、母エマと筆頭の関係でした。
なんと、エマが生まれたのは100年前の統一戦争の頃。偶然、筆頭の世界に迷い込んだ彼女は外とは時間の流れの違う世界で80年を過ごし、筆頭から砂糖菓子作りの教えを受け、そして彼の前を去ったということでした。
女であるエマがなぜ卓越した技術をもっていたのか、なぜ妖精の技術であるはずの糸つむぎの道具を持っていたのか、というシリーズ冒頭からの謎がついに明かされました。妖精がらみだとは思っていたけど、実は100年前の人間で筆頭と一緒にいたとは予想外でした。

 

アンとエマの関係を知った筆頭は、自分の力の及ばない運命の力を感じ、自分にも知らないことがあること、自分の考えが間違いであることに気づき、アンに砂糖林檎を分け与えることを許します。
3000年を孤独に生きるという筆頭の宿命は重たいもので、結局それはアンに砂糖林檎を与えようが変わりません。それでも意固地になっていた彼の心を解きほぐしたのが、時間を超えて思い出したエマへの恋心とアンの誠意だったっていうところは素敵でした。

 

一方、筆頭に追い出されたシャルは、砂糖林檎の気脈の中で妖精王リゼルバの記憶と出会い、自分たち3人の妖精王の存在はリゼルバが未来へ託した可能性の数だということを知ります。人と争うか、人と生きるかは可能性の問題なのだと教えられるシャル。人とあくまで争おうとするラファルと、人と生きようとするシャル、どちらかを選ぶことに迷うエリルの、3人の妖精王たちの行方が気になります。特にエリル。この子がどう転ぶか全然わからないんですよね。ラファルはバッドエンドしか見えない・・・

 

ちなみに、シャルがいた気脈はそこにいる者の思いを剥き出しにしたあげく、次に通る者にそれを語ってしまうという恐ろしくプライバシー侵害甚だしい場所でした。アンのことばかり考えていたシャルに生まれて初めての羞恥心を芽生えさせるほどです。怖すぎる・・・

 

アンとシャルの帰りを待つ人間たちのほうも慌ただしくなっています。
国王はヒューに砂糖菓子存続を祈るために国をあげて大規模な砂糖菓子を製作するよう命じます。そうして、王都に集められた妖精を含む多くの職人たち。彼らがこれから何を作り上げるのか興味津々です。
その影で、腹黒宰相閣下も暗躍。ヒューに渋格好良く悪巧みを蹴られた彼の動向も気になるところです。

 

最終巻まであとどのくらいなんでしょうね(新章開幕の可能性もありますが)
あとがきから察するに次巻も間を空けずに刊行されそうなので、楽しみに待っていようと思います。

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三川 みり,あきKADOKAWA/角川書店
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