伯爵と妖精 新たなるシルヴァンフォードにて


『伯爵と妖精 新たなるシルヴァンフォードにて』(谷瑞恵著/コバルト文庫)★★★★★

伯爵と妖精 新たなるシルヴァンフォードにて (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)
伯爵と妖精 新たなるシルヴァンフォードにて (伯爵と妖精シリーズ) (コバルト文庫)

本編を完結させた「伯爵と妖精」の後日談を描く最後の短編集です。
ついに伯妖も終わりなのか、と思うと涙が出そうになるし、寂しくて仕方ありません。
全33巻という大長編であり、間違いなく少女ライトノベルの名作でしょう。
少女向けのライトノベルらしいにやにやしてしまう恋愛要素を主軸に据えつつ、決して甘いだけではないストーリー展開は他の追随を許さないものでした。
序盤の童話的世界感を出す妖精事件簿的なお話も良かったですし、シリーズの本筋である対プリンスがメインになってからの終盤の緊張感も本当に面白かったです。
今回の短編は、序盤の雰囲気を出しつつ、「ああ、これまでふたりが抱えて戦ってきた問題が本当に終わったんだな」という余韻情緒あふれる後日談となっています。
アルヴィンの可愛さにときめきつつ、変わらぬエドガーに和ませられ、幸せな気持ちになれる短編集でした。

☆あらすじ☆
すべての戦いを終え、平和を取り戻したリディアとエドガー。息子のアルヴィンも生まれ、一家は改めてエドガーの両親の領地を訪ねるが…。文庫未収録の短編を含む、愛いっぱいの後日談。

では、各話の感想でも。

 

「ウサギ帽子の内緒の話」
ちびリディアの可愛さにやられてもだえました。
小さなリディアと母アウローラのお話。
リディアは小さい頃からリディアですねw 勝ち気に優しくおひとよし。
アウローラが優しいフェアリードクターになれるようにリディアを導いていたんだな、とじーんときます。

 

「極上のパウンドケーキはいかが?」
本編でもちらりと存在をみせていた伯爵家のフランス人料理長のお話で、エドガーとリディアが結婚してまもなくの頃の騒動を描いた短編。
伯爵家の影の権力者はリディアです、という結論になるのはともかく、エドガーのポジションが低すぎて笑いました。
エドガーとトムキンスのやりとりはいつ見ても最高です。リディアにかまってもらえない鬱憤をトムキンスにこっそりぶつけるも簡単にあしらわれるエドガー。この瞬間の彼は本当に残念なイケメンですね。
妖精のバターでつくったパウンドケーキ、というか普通にパウンドケーキ食べたくなりました。

 

「春を待ちわびて」
これは雑誌コバルトの完結記念号に載ってたのを読んだことがあったのですが、そのときはエドガーの夢オチだったものをところどころ改変してラストを削って、後日談に模様替えしてありました。
本編完結直後、エドガーの公爵就任前のお話。
初期の頃のように妖精騒動で振り回される2人ですが、心の絆は初期とは比べものにならないのがよくわかります。リディアは相変わらずのツンデレですがw
ツンデレ・・・・・・でもないのか。リディアの属性って名前つけづらいな。人間であろうとなかろうと誰彼かまわずモテまくる美形の旦那の存在と旦那自身に頭悩ませる可憐な妻・・・? 長いか。エドガーはただのデレデレです。
モザイクのイヤリング、ググってみたけど写真見つけられませんでした。たぶん似たような感じのヴェネチアン・モザイクのグラスやらタイルやらはとても綺麗でした。

 

「新たなるシルヴァンフォードにて 旅立ちは青い空の下」
アルヴィンが1歳になり、エドガーがついにシルヴァンフォードに帰還するお話。
一方で、ロタとポールのその後を描いたお話でもあります。
まさか大公のおじいちゃん死んじゃうなんて・・・・・・。
でも、ロタとポールがそれぞれの道を踏み出しつつ、ちゃんとお互いを「帰る場所」として認識してくれて良かった。このふたりの関係がどうなったのかも気になっていたので、ちゃんと決着をみせてくれたのはありがたいです。
エドガーも、父親の友人に墓所の鍵を返してもらえて良かった。
アルヴィン連れて行ったのがやっぱり良かったんだろうか。もう汚いことはしない、と決意したエドガーが凜々しくて素敵でした。
一方でエドガーに影響されつつあるリディアがちょっと面白かったです。演技、きっとバレバレだったに違いないw

 

「新たなるシルヴァンフォードにて 小さな伯爵の冒険」
アルヴィンが5歳になって、なんと下に1歳の双子の弟妹ができています。え。ちょっとそこんとこ詳しく!
3人の親になっても相変わらずなリディアとエドガーに和みます。エドガーは相変わらずリディアに近づく男に殺気放ちすぎです。
アルヴィンと3人川の字で寝ようというリディアの提案に「ええっ」と不満を出したり、「おとなになったら大好きな人とくっついて寝れるよ」「お母さまと?」「お母さまはだめだ」のやりとりに爆笑しました。マジおとなげない。
ニコ取られそうでアルヴィンに対抗意識燃やしたレイヴンといい、似たもの主従はぶれません。
でも、3人川の字のイラストはパパな感じが出ていて素敵でした。
アルヴィンとケルピーの2ショットシーンも読めたので嬉しかったです。ケルピーが保父さんできててびっくり。

 

・・・・・・ああ。伯爵と妖精、本当に終わってしまうのか。すごくすごく寂しいです。
この童話的な雰囲気にもうちょい浸ってたいです。
アルヴィンと双子がメインの次世代編でもいいから読みたいです。
次世代編って、批判されがちな気がしますけど、私けっこう好きなんです。慣れ親しんだ世界観を手放なくてすむじゃないですか。
アルヴィンメインに据えて、3兄弟で妖精事件簿やったらいいんじゃないですかね!!(提案。真剣。)

 

・・・・・・たぶん、なさそうですね。本当に完結です。
谷先生、高星先生、本当にお疲れ様でした。
素敵なイラストで彩られた「伯爵と妖精」の世界が大好きでした。折に触れて読み返すこと間違いありません。
できれば電子書籍化もしていただきたい。33冊持ち歩いていつでも好きなところを読み返したいです。

 

谷先生は2月25日に「異人館画廊 盗まれた絵と謎を読む少女」という新作を発売されるそうです。
これ、コバルトの2月の新刊と発売日がちがっているので、コバルト文庫からでるのか不明です。
もしかしたら集英社の新レーベルという可能性もなきにしもあらず・・・?
イラストは詩縞つぐこという方なのですが、ググっても出てこないのでどんな感じの絵を描かれるのか不明です。
谷先生は「思い出のとき、修理します」のヒットも記憶に新しいので、新作も期待したいです。楽しみ。

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