金星特急外伝


『金星特急・外伝』(嬉野君著/新書館ウィングス文庫)★★★☆☆

金星特急・外伝 (ウィングス文庫)
金星特急・外伝 (ウィングス文庫)

すでに完結している金星特急(全7巻)の短編集。
雑誌のほうで本編終了後に連載されていた「外伝」と書き下ろし「花の海で」が収録。ユースタス&砂鉄の話も2話あります。この2人の話が私は大好きです。
書き下ろしは錆丸のその後。うーん、不穏(笑)

☆あらすじ☆
フランス外人部隊の砦に調査潜入した白鎖五十二位の夏草は、瞳の中に虚無を抱えるルイという中隊長に出逢い…?金星の残した不思議な力を回収すべく世界を旅する砂鉄とユースタス。純国普と戦いながら言語の研究を続ける王女達と、それを護衛する月氏達。そして金星との娘を育てる錆丸。錆丸と金星の世紀の恋の一方で語られなかったいくつかの物語と、彼らの旅の後日談を描いた、大人気シリーズ珠玉の番外篇集。

以下、ネタバレありの感想です。

 

「恋人の妹」
本編で一番自分らしさを貫いたと思われるアルベルト王子。この人の初恋の話は本編でも出てきて、その相手であるエミリーがヴィットリアに会うお話。
アルベルトが金星特急に乗る直前に隠した手紙に書いていた言葉がすごく胸に響きました。妹も言ってるけど、普段はぺらぺら好きなだけ喋りたおす彼が、恋した女性にはただ一言だけを伝える。その言葉はなによりも傷ついていたエミリーの心を癒やしたことでしょうね。少し大人になったヴィットリアも素敵でした。
アルベルトは初登場時と最期で一番印象が変わったキャラでもあったなぁ、としみじみしました。

 

「Lobo & Blanca 1・2」
金星が消えた後に、金星の忘れ物を回収するために世界を回っているユースタスと、それに付き合うユースタス。主役である錆丸&金星よりも人気があると言われる2人の話は甘くて切なかったです。
タイトルの「ロボとブランカ」は雪の森で寄り添う2人を見たノアがたとえたたものですが、「狼王ロボ」っていうのはシートン動物記のひとつの話らしいです。
誰よりも強いロボは伴侶ブランカを失ってしまったために死んでしまう。まさしく、砂鉄とユースタスを暗喩するかのようなストーリーにユースタスだけでなく私まで戦慄してしまった・・・
砂鉄は本編以上にユースタスに甘々で、とろけそうなくらいだったので・・・本当にユースタスを失ったら自暴自棄になってしまいそうです。

短編の2本目では、ユースタスの代わりに彼女の両親と接触したりしてるしね。優しくなったのはいいことですが。
「私より先に死なないでくれ」「君のいない世界は私には耐えられない」というユースタスの言葉は2人の共通認識でしょうね。この2人が作り出す雰囲気は儚いし脆そうなんだけど、すごく好きです。

 

「骨嚙みの酒」
雷鳥様かっこいい。これは本編の前の話。

 

「砂の男」
夏草と三月が出会ったときの話。この2人組はけっこう好きでした。家族が欲しいっていう思いが暴走しちゃった三月さん・・・錆丸と桜に救われて良かったです。

 

「天使」
最初、何の話か分かりませんでした(笑)鎖様の初恋の話だったんですね。ラストにさりげなく市長の首にリボンのロープかけてく鎖様に衝撃を受けました。

 

「花の海で」
書き下ろし。金星の娘・桜と暮らす錆丸のお話。
桜の将来に不安を感じる錆丸が世界中の金星特急事件絡みで知り合った人々を娘の守護者に選ぼうとするのですが・・・
不穏だ。金星の残してくれた娘が愛しくてたまらないのに、そんな不安を抱えていかなきゃいけないのか。
伯父バカ三月に癒やされたものの・・・
なんとなくもっと幸せなハッピーエンドを期待してたので。不穏な空気を残さなくても・・・
もしかしたら困難が待ってるかもしれないけど、仲間はたくさんいるんだよ!エンドってことで納得することにします(笑)
もう桜主人公で次世代編やっちゃってくれてもいいんですよ!!!

 

嬉野君先生の新作が小説WINGSの2014年冬号から掲載されるらしいので、そちらも気になります。嬉野先生の文体って透明感があってとても好きです。次回作も楽しみに待っていようと思います。

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